JINKI 34 譲れないものひとつ

 重く沈殿した静寂に、両兵は夜空を仰ぐ。

 とっくに暮れた月夜の晩に、背中を預けたのは軽自動車一台。ここに酒でもあれば、少しばかりマシなのだが、生憎酒もつまみもない。両兵は車越しに沈黙を貫いている相手へと言葉を投げていた。

「……機嫌直せって。オレだってこんなになるなんて思っちゃいねぇし……」

「それ、誘った側が言う?」

 切り詰めたエルニィの声に両兵は後頭部を掻いていた。どうにも今回ばかりは言い逃れが難しい。

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