JINKI 59 戦士の背中

 ――何もない。

 何も感じられない、茫漠とした闇。

 彼方まで見られた景色には地平線を染める赤が焼き付いている。

 終わりのない戦場と戦地の怨嗟。誰かのために声を上げることも、何かのために声を荒らげることも諦められた死地があった。

 産声を上げるのは破壊と殺戮のみで、希望の徒は消え去り、蛮勇の猛火は儚くも燃え尽きる。

 人間に、生きる価値は失われた。

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