JINKI 65 雨空を抜けて

 叩きつけるようなスコールに、立ち尽くした影があった。

 白銀の髪より滴る水滴を払い、駆け抜けてきたルイは、服の裾を絞る。染みついた水の重さが素直に今の自分の引きずる悔恨の重さであった。

 禊の雨にもならないのは、南米のスコールのもたらす騒がしさと、そして熱帯雨林特有の緑の臭気であろう。

 ルイは打ち捨てられたバラック小屋の屋根を仰ぎ、そしてじっとそこで膝頭を抱えて座り込んだ。

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