――両手をまず、真っ直ぐに伸ばして。
力まないで、ペダルを踏んだ足はぶれさせず、重心を真ん中に捉える――。
ハンドルを掴んだ手が震える。掌が汗ばんでいるのが分かる。
緊張しているのか、と己に問いかけても、やはりと言うべきか、相応な返事も得られないまま、漕ぎ出しかけて、赤緒は何度目か分からない、よろめきを実感していた。
「あー! また赤緒だよ。いい加減乗れるようになったら? 自転車くらい」
「あぅ……でも乗れないんですよぉ……」
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JINKI オリハルコン・レイカル 人狼機ウィンヴルガ
――両手をまず、真っ直ぐに伸ばして。
力まないで、ペダルを踏んだ足はぶれさせず、重心を真ん中に捉える――。
ハンドルを掴んだ手が震える。掌が汗ばんでいるのが分かる。
緊張しているのか、と己に問いかけても、やはりと言うべきか、相応な返事も得られないまま、漕ぎ出しかけて、赤緒は何度目か分からない、よろめきを実感していた。
「あー! また赤緒だよ。いい加減乗れるようになったら? 自転車くらい」
「あぅ……でも乗れないんですよぉ……」