JINKI 68 アンヘルと歯医者

 ふと、目に留まった姿に赤緒は立ち止まっていた。

「あれ……ルイさん……」

 どうしてなのだか、ルイは境内の奥に縮こまり、その顔を伏せていた。

 まさかどこか悪いのだろうか。歩み寄った赤緒に、ルイがびくりと肩を震わせる。

「……その足音、赤緒ね」

「あのぉ……何かあったんですか? 南さんと喧嘩でも――」

「それはないから、放っておいて」

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