ウィンブルガ 1 真白&飛花 悲惨なる末路

 そんな真白と相棒である飛花・ルージュは過去最大の絶望的な状況を迎えていた。

 グロリアとの再戦と敗北――ドールマンと結ばれ、〝彼に処女を捧げる〟という長年の夢を叶えた彼女の戦闘力はまさに女鬼神の名に相応しく、真白と飛花すらも凌駕するほどだった。

 敗北を喫した2人はドミネイター本国へと連行され、公開処刑と言う名の陵辱拷問を受けようとしていた。

「飛花ちゃんはどこにいるのっ!?」

 広場に設けられたステージの上で真白は目の前の根室を睨み付けた。広場には、真白がこれから迎えるであろう恥獄をしっかりと目に焼き付けようと大勢の民衆が詰めかけていた。

「この期に及んでまだ他人の心配をしているのですか? これから何が行われるのか分かっているのでしょう?」

「くっ……!」

 真白は荒い呼吸のたびにふるふると揺れ動く形の整った大きな双丘や、人機によって無理やり開脚させられた股間の中心にあるぴったりと閉じた一本筋を集まった男達に晒していた。

 一糸纏わぬ姿で人機に四肢を拘束されながらも、気丈な態度を崩さない真白に厭らしい笑みを向ける。

「ようやくこの時がやってきました! 今度こそあなたは私に処女を捧げるのです! さぁ、早く〝根室大二郎を愛しています〟と笑顔で宣言してください! 残念ながら性器を開かせてあげることはできませんが、皆が見ている中で愛を誓うのです……さぁ! その想いに応えてしっかりと孕ませてあげましょう!」

「ふざけないでっ……!! 私は絶対、あなたに処女は捧げない! あなたなんかに処女を捧げるくらいなら鉄串に捧げた方がマシよ! 早く飛花ちゃんがどこにいるのか教えなさいっ!!」

 憎むべきドミネイターに素肌を見られる羞恥と屈辱、そして大切な飛花も恐らく同じ目に遭わされていることへの怒りで、真白の瞳は憎悪に染まっていた。

「な、なんだとっ……!? 私が今すぐにでもあなたを犯せるということを分かって言っているのですか?」

 〝鉄串の方がマシ〟……その言葉に根室のプライドは傷付けられ、顔にははっきりと怒りが浮かび上がる。

「だから、それは私が〝捧げる〟んじゃなくて、あなたが〝奪う〟んだってば! 何度言わせるのよ! 本当にドミネイターらしい野蛮な考えね。そんなことしようとしたら、舌噛んで死んでやるからっ!」

 そう言って根室の顔にペッと唾を吐きかけた。

「くっ……! このっ……!!」

 あくまでも強気な態度で抵抗を続ける真白に根室の怒りは早くも頂点に達する。赤く染まった顔を真白に向けていた根室は、ふと何かを思い付いたように邪悪に嗤った。

「あなたはまだ自分の立場をちゃんと理解していないようですね。お仲間の所在でしたか……くくく……そんなに知りたいのならば教えてあげましょう」

 そう言うと、根室はステージ上に設置された巨大スクリーンのリモコンを操作した。大画面に映し出された飛花の姿……真白同様、全裸に剥かれ、天津之黄泉の断罪の間で見た装置に手足を飲み込まれるようにして拘束されていた。

「ひ、飛花ちゃんっ!!」

 画面に向かってその名を叫ぶも、本人にきこえている様子は無い。その時、真白は気が付いた――飛花が目を見開き、非常に呼吸を荒げていることに……頬には涙の跡が見え、全身が汗に塗れている。それはまるで、何か途轍もない痛みに耐えた後のようだった。

「あ、あなた達……飛花ちゃんに一体何を……」

 震える声で根室に尋ねる。嫌な予感で真白のこめかみからつーっと汗が垂れ落ちた。飛花の身体には見た目、傷は付いておらず、それが更に不気味さを増していた。

「あぁ、そう言えば、スノゥさんが言っていましたね」

 厭らしく勿体ぶるかのようなねっとりとした口調が真白をイラつかせ、不安を煽る。

「あなたではなく、敢えて彼女の所へ行った者が見ることのできる催し物をすると……」

「な、何よ……それ……」

「ふふふ……アヴァン・ルージュの女兵士の〝爆弾出産〟だそうですよ」

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