昨日の記憶を辿って顔をしかめる。〝調教〟という名の過激な陵辱に私の身体は耐えられなかったようだ。
「くそっ……」
私をここまで運んだのはどうせあいつなんだろう。生まれたままの自分の姿を見ながら悪態を吐く。まぁ、あいつに〝飼われ〟始めてから、服を着たことなんてほとんど無いから今更だった。
ドミネイターに敗北を喫した私は、鉄串に処女を捧げるところを見世物にされた後、根室の性奴隷となった。飛花ちゃんの方も同じように見世物にされて、どこかに連行された。ドミネイト兵たちの慰みもの兼実験台にされていると聞いた。
「おはようございます。真白・ミューラー」
ドアが開き、私の〝飼い主〟が入ってくる。
「根室っ……!」
憎悪の籠った目で睨み付けるも、根室はそれを涼しそうな顔で受け止める。それは、その気になれば、私や飛花ちゃんをどのような目にも遭わせることができる勝者の絶対的な余裕だった。
「ふふふ……今日もご機嫌ななめのようですね。昨夜はあれだけ乱れ叫んでいたというのに。気を失うほど良かったのですか?」
「だ、黙れっ! 道具に頼らないと女も抱けない軟弱者!」
私の生活は毎日同じようなことの繰り返しだ。
日中は〝調教〟と称した様々な責め苦を延々と受けさせられ、夜は根室に犯される。こいつは私を犯す際、色々な道具を使う。その中でも研究部門が開発したという媚薬は特に私を苦しめた。
これを使われると、私の女としての部分がどうしようもないほどに疼き始め、心は嫌悪感で満たされているのにも関わらず、身体は勝手に絶頂を繰り返す。屈辱的な絶頂はかなり心身を磨耗させるのか、気が付くと自分の寝床にいることも多かった。
「その道具に涙を流して反応しているのは誰でしょうかねぇ?」
「くっ……このっ!」
「おっと、無駄な問答は結構ですよ。さぁ、早く〝朝の挨拶〟をしてください」
そう。そして朝はこの〝挨拶〟をさせられる。断ることはできる。けれど、その場合は飛花ちゃんに被害が及ぶ。以前拒絶した際、自分のせいで懲罰を受ける飛花ちゃんの音声を聞かされて気が狂いそうになったことがある。それ以降、私はこの男に逆らえないのだ。
「わ、分かった……わよ」
私はゆっくりとした動きで床に膝をつき、脚を折って正座する。何も身に付けていない上半身をそっと前のめりにして、十本の指を綺麗に揃えて床に置く。低いところから根室を見上げると、彼は得意気な顔で高見から自分を見下ろしていた。想い続けた相手を好きにできる満足感と征服感がありありと顔に浮かんでいた。
そして、私は歯噛みしつつ深々と頭を下げた。手と手の間で額を床に押し当てると、太ももと上半身に挟まれた乳房がぷにゅっと潰れた。
「ね、根室様……おはよう、ございます……本日も……真白・ミューラーに……お、女の悦びを教えて……下さい」
屈辱に身を震わせながら決められた台詞を口にする。私は毎朝、これをさせられる。慣れることの無い恥辱に泣きそうになるのをぐっと堪える。
「ふふふ……良いでしょう。ではまずは……」
根室は邪悪に嗤いながらズボンのチャックを開けると、既にイキり立った男性器を取り出した。
「まずは奉仕して貰いましょうか」
朝の挨拶とセットで行われる性的奉仕――それは私の口を使って行われるおぞましい行為だった。
「し、失礼します……」
膝立ちになって根室の男性器と向かい合う。ギリッと歯噛みすると、口を開いて先端に舌を触れさせた。
「おほっ!」
根室が気色悪い声を上げると同時に、肉棒がビクンと跳ねた。そのまま舌を裏筋へと運び、カリ首をなぞるようにして這わせていく。白いツブツブの感触を舌に感じて肌が粟立った。
(気持ち、悪い……!)
カリ首の汚れを舐めとるように2~3周すると、そこで舌を離してチラリと目だけを上に向ける。ニヤニヤとした表情で私の次の言葉を待っている。
「それでは……く、口に入れさせて、頂きます……」
そう言ってから口を開けると、ゆっくりと男性器を口内へと収めていく。これらの所作は全て根室によって定められたもので、違うことは許されない。
男性器を口に入れるという行為は犯されるのとは違って、自分の意思で行わなければならず、その分だけ屈辱感も大きかった。
「お、おぉ……今日もあなたの口の中は温かいですねぇ。基礎体温が高いのでしょうかね」
気色悪い言葉を聞きながら、私は肉棒を飲み込んでいく。
「んっ……むぐっ……んん……」
先端が喉へと入り始めると、苦しさで眉根を寄せる。まず始めにこうやって肉棒を根本まで咥え込まなければならなかった。根室曰く〝服従の証〟なのだそうだ。
「ふーっ、ふーっ……」
込み上げてくるえずきに耐えながら、肉棒が見えなくなるまで咥え込む。ボサボサに乱れた陰毛が鼻頭に触れて気持ち悪い。口内を保護するかのように唾液が勝手に溢れてくる。私はそれを舌で掬い取ると肉棒へと塗りたくる。
「おぉ……良いですよぉ……」
下準備が済むと、ゆっくりと頭を引いていく。涎でヌラヌラと淫らに光る肉棒が視界に映る。
私は半分ほど吐き出した状態で、口をすぼめて唇と男性器を密着させると、再び飲み込んでいく。
「んっ、んちゅ……ずちゅ、んぷっ、んぶっ……」
顔を前後に動かして肉棒に刺激を与えて扱き上げる。
「ふふふ……上手ですよ」
溜め息とともに感嘆の声が頭上から降ってくる。好きで上達した訳じゃない。私はここに来てから毎日これをやらされている。酷い責めで気を失った翌日も、体調が悪くふらつく日でも関係ない。毎朝毎朝、私は根室の男性器を口に咥えさせられている。
「んっ、くっ……んぶっ、ぬぶっ、むぐっ……んぐっ、んんっ、」
上目使いで根室を睨みながらも口を止めることはない。膝立ちで脚を開き、手で女性器を目一杯拡げる――それがこの奉仕における決められたポーズだった。〝粗相があれば足で御躾下さい〟〝私の穴はいつでもあなたのために空いております〟ということを示す屈辱極まる格好だった。
「ずちゅ、ぐちゅ……んぶっ、さっはと、イひなはいよ……んん、ずるっ、ぬちゅっ……」
口の中に溜まった唾液を吐き溢し、淫靡な唾液音を部屋に響かせながら〝その時〟に向かって一心不乱に顔を動かす。
喉の奥まで入れたり先端を内頬に擦り付けたり、学ばされた技術で奉仕する私を見下ろしながら、根室は肉棒を硬く太くしていく。
(今、何分経った……?)