JINKI 82 鮮やかに、澄み渡る

 訓練場の片隅で、駆け抜ける紫色に塗装されたトウジャを目に留めて、両兵は立ち止まる。

「……ありゃ、何だ? 訓練の中にゃ、自衛隊のための《アサルトハシャ》と、ナナツーの編成案しかなかったはずだが」

 紫色のトウジャはシャープな白いラインを施されており、高機動を実現するために、肘にも加速推進剤が備え付けられている。

 既存の《トウジャCX》の開発理念とも違う機体を凝視していると、唐突に声がかかった。

『よぉーし、そこまで! いい感じだよ、ルイ』

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