JINKI 89 夢風鈴の街で

「赤緒ー、何やってんのさ。遅いよ?」

「と、とは言いましても……」

 赤緒はそこいらの景観に目を奪われてしまう。何せ、初めて来たこの場所は――。

「赤緒ってば、お上りさんみたいだよ? ボクもまぁ、初めてではあるんだけれど、データなら知ってるし」

「そ、それとこれとは別じゃないですかぁ……。もっとゆっくり回りたいって言うか……。あ、あそこ! 古本市でしょうか? 本がたくさんありますね……」

「ホントだ。ちょっと寄ってく?」

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