ウィンヴルガ8 Pathetic song 1

「とりあえず、まずは身体検査だな。何か武器になるものを持っているかも知れないからな」

 1人の提案に他の3人が同意する。どう見たって今の私は丸腰で、何も持っていないことは明らかだ。だからこの身体検査の目的は絶対に武器の確認なんかじゃない。

「俺らが見やすいように机の上に立って服を脱いでもらおうか」

「……嫌です。既に実施済みですので、そんなことは必要ないはずです」

 これは身体検査の名を借りた脱衣ショーだ。付き合う義理など一切ない。私が武器の類いを所持していないことは、この施設に連れられて来られてすぐに確認された。当然、そのことは彼らだって知っている。

 私が机の上に立てば、必然的にこの人たちは私を見上げるような格好になる。彼らの視線がどこに集中するのかは性経験の皆無な私でも想像に難くない。

「ほらな、やっぱりこう言うだろ?」

「そもそも賭けにすらならねぇよ」

 てっきり怒り出すかと思ったが、意に反して彼らは想像通りと笑い合う。それが返って不気味だった。

「何を言ってるか分かりませんが、いずれ真白や飛花がここに来ます。その時があなたたちの終わりです!」

「真白? あぁ、あの白モグラなら既にここにいるぞ」

「そういや、あいつはもう最高司令のところに連れて行かれたのか?」

「いや、まだだろう。どんな感じになってるのか後で連絡して聞いてみるか」

 ――真白たちが……捕まった?

 自分の耳を疑った。きっと私を不安にさせようと嘘を言っているに違いない。真白とウィンヴルガが負けるはずないんだから……。

「あなたたち……何を言って……」

「あ? だから、白モグラとお仲間も負けちまったってことだよ。残念だったな」

「う、嘘……そんなはず……」

「これを見ても同じことが言えるかな」

 見せられた携帯端末に映る画像は手を万歳するように拘束され吊られている真白の姿だった。恥辱と屈辱の混じった表情で目を閉じ顔を逸らしている。着ていた衣装は中途半端に破り捨てられ、彼女の傍には多くのドミネイターがいて、露わになった胸を見下ろして笑っていた。

「そ、そんな……そんなはず……」

 縋っていた希望がサラサラと音を立てて崩れ出し、代わりに絶望の魔の手が溺れもがく私の足を掴んでさらに深淵へと引きずり込もうとする。

「今お仲間のアヴァン・ルージュの女を拷問して情報を聞き出そうとしているみたいだが、なかなか口を割らんらしい。まぁ、〝棺責め〟だから時間の問題だろうがな」

「強情な女でもすぐに泣いて許しを請うって有名なやつか。見に行きてぇな。前に棺責め受けた捕虜の女は、あまりの辛さにどうか孕ませて下さいって懇願したらしいぜ」

 私たちと別れた後、彼女は奈落の出口を守る役割を任されていた。捕らえられたということは攻めて来たドミネイターに敗北してしまったことを意味している。断罪の間から行方不明になっていた飛花も、発見され抵抗虚しく捕まったということだろうか。

「状況は理解したか? ついでにこれも見せてやろう」

 携帯端末を操作すると、再び私の眼前へと突き出した。

「――――なっ!?」

 そこに映し出されていた映像に絶句する。

『んぐっ! んお゛ぉ゛っ! ぐむぅっ!? ん゛ん゛ん゛っ!!』

 屈強な男たちに取り囲まれて見知った女性が苦悶に満ちた声を上げている。

 私がいる部屋と同じような簡素な部屋で行われている狂宴。女性の苦しそうな声とは真逆に、男たちは皆表情を邪悪に歪め、机の上にまるで供物のように捧げられている裸体にギラついた目を向けている。

「と、ときこっ!? ときこっ!! いやぁぁあぁっっ!!」

 そこに映っていたのは、天津之黄泉の聖輪宮親衛隊、通称〝ヨミ隊〟の1人であるときこだった。一糸纏わぬ姿で机の上に仰向けで寝かされた彼女に大勢の男が群がっている。

『おらおらっ! 手が止まってるぞ!』

『喉ももっと締めて咥えないと、いつまで経っても息できないですよ?』

『へっへっへ、なかなか良い胸じゃねぇか。嬲り甲斐があるってもんだ』

『気を失ったらどうなるか分かってんだろ? もっと気合入れやがれっ! 処女だからって手加減しねぇぞ!』

 仰向けで頭を机の端から垂らされたときこの口に男のアレが深々と突き刺さり、机の脚に縛り付けられて閉じることを許されない足の間で別の男が一心不乱に腰を振っている。彼女の股間に出入りするペニスは赤く染まっていて、それがミズノハ兵装を駆る戦巫女たちにとって最も大切にしている純潔の証だということはすぐに分かった。両手にも同じものを握らされ、喉を塞がれて苦痛にもがいている。

 彼女で扱けない溢れた男たちは暇つぶしとばかりに胸を揉み潰し、ベタベタと下腹部を触っていた。

『ぐむっ、ぐっ、ぶ、む゛……お゛、ごえ゛ぇっ!! げほっ! げほ、ごほぉ゛っ!! はひっ、はぁっ、はぁっ……ちょ、ちょっと休ませ、て……痛い、痛いのっ! おごぉっ!? んぐうぅぅっ!!』

 あの優しく笑って澄んだ声で話すときこの口から、耳を塞ぎたくなる濁った悲鳴が吐き出される。ときこの必死の懇願など聞き入れられるはずもなく、嗜虐心が刺激された男たちをさらにヒートアップさせるだけだった。

 上も下も乱暴に腰を打ち付けられて全身を串刺しにされ犯されている。ペニスを握ったまま動かす余裕もなく、男たちが自ら彼女の手を使って扱いていた。彼女から何か情報を引き出そうという意思は一切感じられず、彼らにとってときこは自分たちの性欲を満たすだけの肉人形だった。

『く、ぉ……そろそろ出してやるっ……! 初物マンコに種付けだっ!』

『こっちもです……良いですか? 全部溢さず飲むのですよ?』

『んんんっっ!!?? んんんんっ、んんんんん――ッッ!!!』

 〝止めて〟と訴えかけるような悲痛な叫びを上げながら首を振るが、男たちのラストスパートは止まらない。ズガンズガンと机が揺れて音を立てる勢いのまま、ペニスを根元まで突き入れて腰を震わせた。

『んん゛ん゛――――――っっ!!! ん゛んん――――――っ!! おごぉっ、ごぶっ、ごぼっ、げぼぉっ!! ぶほぉっ!!』

 性経験の皆無な私にだって、〝子どものつくり方〟くらいの知識はある。女性器に男性器を挿入して……。今行われてるのはまさに〝それ〟だ。2本のペニスから勢いよく噴出してときこの身体を汚す白く濁ったドロドロとした液体。同じものが口内や膣内にも大量に注がれ、彼女の体内を穢している――そう理解した瞬間、胃が痙攣し吐き気が込み上げた。

 ときこは見開いた目から止めどなく涙を零しながら、ビクビクと腰を跳ね上げ全身を痙攣させている。まさに水場を失って、のたうち回る魚そのものだった。

 喉が上下に忙しなく動いている。きっと喉奥深くで出された精液で窒息しないように必死に飲み下しているのだろう。

『ふぅ……喉の締まりは合格ですね。そっちはどうですか?』

『あぁ、マンコも狭くて良い感じだぜ。普段から戦ってるせいで、自然と鍛えられるんだろうな。それと排卵が近いのか、子宮がかなり降りて来てるから、思いっきり子宮を堪能できるぜ』

『ははは、そりゃ良い! おい、良かったな。処女喪失と妊娠を同時に経験できるかもしれねぇぞ』 

 男たちが出し切って満足したのか、おぞましい会話をしながらゆっくりとペニスを引き抜いていく。ぽっかりと開いた股間の空洞から、破瓜による血と精液が混ざってピンク色になった粘液が溢れ出た。

『ふーっ、ふーっ! げほっ! げほっ、ごほっ! わ、わたしは……負けません。絶対に……あなたたちには負けません……!』

 顔をぐちゃぐちゃにしながらも男たちに鋭い視線を投げ掛ける。どれだけ身体を穢されても、心は屈しないという気概を感じさせる。

『ひひひ、玩具は丈夫じゃないと面白くねぇもんな。よし、次は俺らの番だ!!』

『おい、口は俺のだぞ!』

『せっかくだからこの胸も使うか。全身で俺らを気持ち良くしろよ』

 彼女の言葉に対して、邪悪な笑みを浮かべながら、次の男たちが間髪入れずに彼女の穴へと殺到した……。

「こんなこと……今すぐに止めてっ!!」

「ふふふっ、それは無理な相談だな。ほら、次いくぞ」

 映像が切り替わる。

 やはり同じ内装をした寒々しい部屋だった。

『早く腰降ろせよ! 早くしないと姫様に同じことやらせるぞ』

『おい、見てみろよ。こっち睨んでるけど足が震えてるぜ』

『はははっ! 当たり前だ。今からあんなもんで処女失うんだからな』

 次々に飛ぶ野次の数々。それを受けている女性もやはり見知った顔だった。

「う、うつき……」

 同じくヨミ隊の一員であるうつきが、天井から伸びる鎖と手錠によって腋が見えるように手を頭上で拘束され立たされていた。

 彼女も裸に剥かれているが、身体は一見すると綺麗なままで犯された痕跡や殴られた様子は無い。

 だけど――――

『戦巫女が自分から鉄串に跨って処女喪失するところが見られるなんて役得だな』

『撮影もしているからな。後で無料公開してやるか』

 彼女の股下には黒く鈍く光る鉄の杭がそそり立っていた。

 処女を極めて尊重する天津之黄泉の戦巫女にとって、鉄串は恐怖と憎悪の対象だ。これまで数多くの女性が鉄串に犯され心身を嬲られてきた。

 彼女は憎き相手である鉄串に自ら処女を捧げようとしていた。そして、それを見世物にされていた。

『待ってても埒が明かねぇな。おい、向こうに連絡しろ。〝自分の処女可愛さに姫様を差し出した〟ってな』

『ここにはまだ戦巫女がいるから、代わりの奴にもやらせてみるか』

 こいつらに人の心は無いのだろうか。天津之黄泉の年寄り連中が可愛く見える。

 あまりにも悪辣な言葉に画面の向こうのうつきもギリッと歯噛みしていた。

『わ、分かった……! やるっ! やるから……他の者には……姫様には手を出さないで……』

 恐らくその願いは叶わない。どうあっても私はこれから嬲り者にされるだろう。仮初の希望に縋って、彼女は無意無惨に処女を失うことになる。昼夜問わず嬲り尽くされ、男たちが飽きた頃に真実が伝えられるのだ。

 うつきはほんの少し足を曲げ、鉄串の先端に股間を触れさせる。性器に挿入するにはあまりにも非常識な太い胴回りに顔は恐怖で蒼白になっている。当たり前だ。あんなものを入れたが最後、本当に壊れてしまうかも知れない。怖くない方がおかしい。

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