机から降ろされた私は脱力し、冷たい地面にペタンお尻と足をつけると、四方を男たちに囲まれた。
「姫様の引き渡しっていつなんです? まだ時間はあるので?」
「うむ。まだもうしばらくはあるな」
「良いねぇ、それまでたっぷり可愛がってやろうぜ」
分かっていたことだけれど、まだまだこの地獄は終わりそうにない。いや――まだ始まってすらいないのかも知れない。だって、彼らはまだ私の裸や性器を見た〝だけ〟に過ぎない。ドミネイト兵がこんな程度で終わるはずがない。
「でも、どうやって?」
「下が使えないとなると、やっぱり上だな」
「へへへ……それは滾るぜ」
〝下〟とか〝上〟とか意味の分からない会話をして、納得したように頷き合うと全員が私の方を見下ろした。
「ここは年長者である私に譲ってもらおうか」
正面で仁王立ちする男がズボンのジッパーを降すと、隙間から肉の棒を取り出した。
男性器をこれほど間近で見たことなどもちろんあるはずない。反り返り上を向いた赤黒いペニスは凶器を思わせる。
「それじゃあ早速、舐めてもらおうか」
「…………え?」
この男は今何と言った?
――舐める? このグロテスクで汚らわしいものを?
「どうした? さっさと舌を出して舐めるんだ」
「うっ……ぃゃ……」
急かすように軍靴の先で私の膝を小突いてくる。
そんなこと言われてもどうして良いか分からない。そもそも男性器を舐めるなんてこと想像すらしたことない。こんなに汚いものを口にするなんて考えただけでもおぞましい。
「くそっ、また時間とらせやがって」
「あ、そうだ。ここには色々良いものがあるんだから使っちゃおう」
太った男が部屋の隅に置かれている鉄製の引き出しを漁って、何やら黒く四角い器具を手に戻って来た。
「なに、それ……」
「言うこと聞かない青歌ちゃんにはお仕置きしないとね」
器具を背中に押し当てたかと思うと――
「あ゛がぁっ!? きゃあああああぁぁぁぁぁあっっっ!!!」
背中に凄まじい痛みが走った。
「痛いっ!! 痛いいいいぃぃぃぃっっ!!!!」
何千本もの針で背中を突き刺されている痛み。意思とは関係なく、ビタンビタンと身体が跳ね、筋肉は硬直する。
「んふふっ、良い悲鳴だね。すごいでしょ。このスタンガンは人間が気絶できないギリギリの電気を流せるんだよ」
「はぁっ……はぁっ……!! げほっ、げほっ!! で、電気……!?」
ほんの数秒だったけど、私はその恐ろしさを理解させられた。心臓はバクバクと早鐘を打ち、勝手に汗と涙が溢れ出す。一度経験したら二度とは経験したくない……そんな類の激痛だった。
「早くしねぇと次はマンコにやってやるからな」
あんなものを性器に使われたら本当に壊れてしまう。
諦めの感情とともに、目の前で威圧するように膨れ上がった肉塊におずおずと舌を伸ばした。
(うっ……く、くさい……!)
すえた匂いが鼻腔を刺激し、嘔吐感が込み上げる。咄嗟に唾液を飲み込むことで何とか胃を落ち着かせた。
「どうせ初めてなんだろう。しっかり教えてやるから、総司令にもきちんと奉仕するんだぞ」
「く、うっ……」
「最初は先端に口づけろ。それが、これから奉仕を始めますという意思表示だ」
私は意を決すると、異臭を放つペニスの先端に唇を触れさせた。
「先端からしっかりと舐めろ。特にこのくびれた部分は入念に舐めて掃除するようにな」
「……んっ、ふっ……んっ、ちゅっ……じゅるっ……んっ、んぐっ……」
先端のピンク色をした肉に自分の唾液を塗り付けていく。
できるだけ心を殺して、無感情に……。
それでも舌先から耐え難いえぐみが伝わり、涙が自然と零れ落ちる。ふと上を向くと、興奮で息を荒くした男と目が合った。
「ん、ふっ……ぴちょっ……ふっ、ふっ……ずちゅっ、れろ……」
言われた通り、くびれの部分を中心に舌を這わせる。まるで自分の唾液で汚れを洗い落とし、匂いの上塗りをするように……。
周りをぐるっと囲むように白く小さなイボ状の粒が並んでいる。舌先にその粒々の感覚をはっきりと感じて、皮膚がゾッと粟立った。