ウィンブルガ 11 ①ドミネイトの女性はドミネイトの女たち~アキの場合~

「ごめんごめん! 寝坊しちゃった」

 待ち合わせ場所に到着した時には既にマコトもラーラも来ていて、私のことを待ってくれていた。

「おはよう、アキ」

「待ってたよ~」

 遅刻した私を2人は笑顔で迎えてくれる。それだけで鬱屈とした私の心は晴れやかになる。

 昨晩、私はドミネイトの男隊員に〝慰安〟をさせられていた。自分の寝床に入ったのは明け方近くになってから。それはドミネイトの女隊員にはよくある日常で、目の前の2人もその身体を男たちに幾度となく穢されている。

 私たち3人は物心がつく前に故郷をドミネイターに追われ、それ以降は女性ドミネイターとして汚辱に塗れて生きている。

 〝女への愛が欠落している〟と言われているドミネイターの性行為はまるで暴力だ。相手のことなど一切考えず、ただ自分が気持ち良く射精できれば問題ないと思っている。そのため、男たちが興奮を高めるための手段として、あらゆる酷事が私たちの身体に降りかかる。首を絞められたり、お腹を殴られたり、思ってもないことを言わされたり……こんなことは序の口で、新たに開発された新薬や拷問器具の実験台にされたり、目の前で大切な友人が泣き叫ぶのを見せられたり、本当に悪夢のとしか思えないことを平気でやらされる。そして、男たちはそれを楽しそうに見ながら私たちの〝穴〟を蹂躙する。

 女隊員は躊躇なく最前線に駆り出され、盾や囮同然に扱われた挙げ句、戦闘後は男たちの興奮を鎮めるための性処理係をやらされる。疲れていようが怪我を負っていようがお構いなしだ。

 女隊員は〝指名〟されるとすぐに応じなければならず、従わないと〝不服従〟で懲罰が待っている。過去に女隊員が一堂に集められ、懲罰の映像を見せられたことがある。それは、大勢の獣たちの悪意や性欲、妄想が1人の女性にぶつけられているおぞましいもので、見ていた数名が泣きながら嘔吐するほどのものだった。

 ――私たちの日常は常に屈辱と恐怖が隣り合わせだ。

「さてと……それじゃあ早速行こっか」

「うん! ボク、すっごく楽しみにしてたんだぁ」

 今日は久しぶりの3人揃ってのオフの日だった。私たち3人は同じ部隊ということもあって、任務の際は基本的に揃って行動しているものの、部屋に戻れる時間や休みの日はバラバラなことが多く、任務外でゆっくり一緒に過ごすことは稀だった。

 マコトは、その母性漂う柔和な雰囲気から男たちからの人気も非常に高く、私たち3人の中でも格段に〝相手〟をさせられることが多かった。特に大きな胸を使った強制的な〝奉仕〟が人気で、必然的に複数人を同時に相手することが多かった。

 ラーラはその幼い体躯から特に異常性癖の変態から人気があり、狭い膣内を幾度となく陵辱されていた。行為中、変態どもが気に入る反応をなかなか返せない彼女は、非常にハードなプレイをさせられることも頻繁にあった。

 そして私……。常に勝気な態度を崩さない私は、犯されている最中も反抗的なことが多い。皮肉なことに、〝そういうの〟が好きな男たちに受けてしまい、屈辱的な表情を浮かべる私を執拗に犯しては、結局逆らうことのできない私に様々な要求を課して来た。

『中に出して頂きありがとうございました』

『精一杯孕みますのでどうか精液をお恵み下さい』

『私の子宮はあなたたちのものです』

 こういった屈辱的な台詞を何度も何度も言わされながら、身も心も穢される。

 私たち3人は励まし、愚痴り、慰め合いながら、ずっとこういう生活に耐えている。そんな仄暗い日常の中で今日という日はまさに一時のオアシスだった。

 私たちは『訓練をする』という名目で人機を持ち出し、本国から少し離れた所にある広野でお茶をしながらお喋りをする計画だった。誰にも邪魔されない場所でゆっくり3人で過ごすのだ。

「はい、これ作ってみたの。良かったらどうぞ」

 マコトがクッキーを差し出してくれた。彼女の料理の腕前は一流で、質素で味気ない配給レーションも彼女の手に掛かればご馳走へと変化する。彼女のおかげで任務中の食事が楽しくなった。

「うわ~! ありがとう!」

「ありがとう、マコト」

 私とラーラは早速それを頬張った。口の中に広がるほのかな甘みと紅茶の風味。味も見た目も売られているものと遜色ない。

「「美味しいっ!!」」

 私とラーラの声が揃う。マコトがそれを見て嬉しそうにニッコリと微笑んだ。

 美味しいお菓子のお供は私のお気に入りのハーブティー。普段の生活を忘れさせる楽しい時間の中で、私たちは将来のことやそれぞれの想いなどを話し合う。

 マコトはもっと料理の腕を上げて、たくさんの女の子を笑顔にしたいそうだ。優しいマコトらしい素敵な夢だった。そして、ラーラは女性が安心して暮らせる場所で自分の赤ちゃんを育てたいのだと恥ずかしそうに語った。

 妊娠と出産――それはドミネイトで生きる女性たちは避けては通れないものだった。ドミネイトの男の精液は他と比べて2倍の寿命があると言われている。膣や子宮の中でもしばらく生き続けるため、必然的に中に出された女性の妊娠確率は上がる。私たち3人も全員が1回以上の妊娠と出産を経験しており、中でもラーラは妊娠しやすい体質でこれまでに2回の出産を経験していた。

 あの時の苦痛は二度と忘れない……。裸のまま分娩台に座らされ大勢の男に囲まれた状態で、苦痛に泣き叫ぶ顔や痙攣で震える乳房や性器を見られながら必死にイキむのだ。私の出産時、隣には同じく陣痛を迎えたアマガネさんがいて、ずっと手を握っていてくれた。だからこそ痛くて苦しい地獄を乗り越えられたと思う。1人だったら私は壊れてしまっていたかも知れない。アマガネさんの方は非常に難産だったのか、男たちに腹部を押さえ付けられたり乳房を乱暴に揉まれたりしていたが、彼女が出産を終えたのは私が分娩室から運び出された後だった。

「早くグロリア様の部隊に入れると良いな……」

 そうポツリと呟いた。

 グロリア・ルイーズ――女性でありながらドミネイター特殊人機隊〝エイト・ラウンズ〟の副長を務めており、〝女鬼神〟の異名を持つ。女性が安心して暮らせる居住区の確立を目指して日々戦う彼女は、私たちだけでなくドミネイトに住む全女性の希望だった。グロリア様の部隊に入ることができれば、もう男たちに身体をいいように穢されることも無く、夢の実現のために彼女と一緒に戦える。それが3人の悲願だった。

「そうだね……」

「えぇ、それまでは絶対に負ける訳にはいかないわ」

 3人で決意を新たにした瞬間だった――――

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