JINKI 106 さよならを紡ぐ翼

「――囲まれちまったな」

 そう忌々しく口にした両兵に対して、赤緒は上操主席で荒い呼吸をつく。

 恐れを染み込ませたトレースシステムが何倍にも重く感じていた。その視界の中に広がるのは、一面の漆黒の人機たち。

 名称、《ブラックロンド》を与えられた人機の群れに赤緒は呼気を詰めていた。

「……こんなにも、追い込まれるなんて……」

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