ウィンヴルガ19 妊娠装置に繋がれた真白の快感責め掘り下げ

「はい、ミドリ様。時折声を上げるものの、男を求める様子はありません」

「ふふっ、さすが我慢強い。ですが、そうでなければ面白くない。だからこそ彼女が陥落した時、アヴァン・ルージュに与える影響は計り知れない」

 邪悪に顔を歪めながらミドリは眼鏡をクイッと上げる。

 処女を乱暴に散らされた日から彼女の笑顔は歪になった。ただ女に生まれただけ。ただそれだけで女としての尊厳も誇りも穢され、男を楽しませる穴としての人生を強要されてきたのだから仕方ないとも言える。

「バイタルモニタリングを出しなさい」

 オペレーターがキーボードを操作すると、大型モニターの両端に数値やグラフが表示された。

 〝絶頂回数〟〝愛液分泌量〟〝感度レベル〟――それらはどれも刻一刻と変化していて真白の体内で起きていることがリアルタイムに変動していることが窺える。

「絶頂回数37回……あら、また増えた。刺激されてもいない乳首をあんなに勃たせて……苦しいでしょうに」

 映し出される真白の表情と変化する数値に満足そうに笑うミドリ。その顔は勝利を確信して疑っていなかった。

「絶頂を迎えた後は必ず悔しそうな表情を浮かべてくれるので分かりやすいですよ。男をねだるまでに何回絶頂するかを賭けているのですが、ミドリ様も参加されますか?」

 快楽を流し込まれ、強制的に発情させられて朱に染まった真白の身体は同じ女性から見ても美しい。そしてそれは同時に、彼女への歪んだ妬みへと変貌する。

 自分たちにはないものを〝未だに〟所有している真白に対して、オペレーター数人が敵意の籠った視線をモニターへと向けていた。

「ふんっ、こんな女の処女なんて妊娠装置を捻じ込んでさっさと奪ってやれば良いんですよ! そうだ、捕虜の男たちから精液を集めて誰の精子で妊娠するか試す実験なんて――」

「黙りなさい」

 ミドリは彼女らの方を向くことなく静かに言い放つ。

 ルイーズ・オピニオンの女性たちは皆、ミドリを含めてドミネーターをはじめとする男たちに虐げられた経験を持つ。その中には復讐心やトラウマから、いとも簡単に過激な行動に移す者も多い。だからこそミドリとしても扱いやすいのではあるが、目を離すとこうやって暴走しかねない。

「次無駄口を叩けば、あなたをあの装置に繋ぐわよ。ちょうど試したかった機能もあることですしね」

「も、申し訳ありません……」

 その場にいたオペレーターたちは全員顔を青くしながら俯いて黙り込む。

 ルイーズ・オピニオンにおいてミドリは絶対的な存在であり、彼女が「やる」と言ったことはやる人間だと言うことは全員が理解していた。

 静まり返ったモニタールームでミドリは溜息を吐くと口を開いた。

「彼女と話をするわ。あちらに映像を飛ばしなさい」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「んっ……くっ、ふっ……はぁっ、はぁっ……あっ、ああぁ……」

 苦し気な吐息が真白の口から漏れる。

 妊娠装置なるものに手足を飲み込まれ、身体からは何本ものコードが伸びている。股間には蛇を思わせる形状の装置がぴったりと貼り付いていた。

「こんな、の……何てこと……な、い……!」

 ドミネイターが捕らえた女性を効率的に妊娠させるために開発されたこの装置には、女性の性感帯を刺激する様々な機能が搭載されていた。

 下腹部に取り付けられた電極パッドは、彼女の穢れのない真っ新の卵巣と子宮を刺激しており、ジンジンと疼かせている。特に子宮は形や場所がはっきりと分かるくらいに痙攣し、自分が女であることを嫌でも自覚させられる。

 股間に貼り付いた装置は本来であれば膣と肛門に挿入する2本の凶悪な器具が生えているのだが、〝真白自身に処女を差し出させる〟ためにそれらは取り外されていた。しかし、クリトリスへの与振機能は健在で、性感に不慣れな真白の陰核は絶えず刺激に晒されていた。しかも、振動の強弱がランダムに変化するせいで、一向に刺激に慣れることはなかった。

「はっ、はっ! あぐっ!? ふぐぅっ……んんっ、うぐぅ……!」

 ある意味、手を拘束されていて良かったのかも知れない。

 そうでなければ、とっくに指は膣穴を掻き回していたことだろう。

 零れた愛液や潮が〝排泄用〟として取り付けられた股間の装置に吸収されていくが、隙間から噴き出す量が次第に増えている。自分が感じさせられているという事実を否応なしに突き付けられる。

 加えて、真白の頭の中で響き続ける〝声〟――ラスティ・ハウリングによって彼女の生殖本能が強制的に呼び覚まされ、男の精を渇望してしまう半洗脳状態に置かれていた。

 あつらえたように真白の周囲には大勢の男性の裸体。全員が感情を失ったかのように突っ立っているだけではあるが、股間の肉棒はいきり立ち、真白の方に狙いを定めている。

「ぐっ……! あぁっ……んくっ……身体が熱い……は、ぁっ……! ふ、んんっ……くそっ、くそぉっ……!」

 それを視界に入れるだけで、どうしようもなく激情が沸き出てしまう。

 ――あれを入れたらこの疼きは消えるんじゃないか

 ――子宮の中に注ぎ込まれたら痙攣が止まるんじゃないか

 彼女の脳裏に浮かぶのは愛する男性と交わるグロリアの姿。

 自分もあんな風になれるのではないかという誘惑に駆られるたび、必死にそれを打ち消さんと目を瞑って頭を激しく振る。

『強情ですね、真白・ミューラー。さっさと楽になれば良いものを』

 必死に耐え続ける真白を嘲笑うかのようにミドリの顔が映し出された。

「はぁっ、はぁっ……! ぜ、絶対にお断りよ! あなたの思い通りになんてさせないっ……!」

 休みなく流し込まれ続ける快感のせいで額に汗を滲ませ、肌を火照らせ、太ももや乳房の柔らかな部分を波打たせ、止めどなく愛液を溢れさせながらも、真白はキッと彼女を睨み付けた。

『強がりを言って。こちらではあなたの脳波や子宮の様子、快感レベルなどを逐一モニタリングしていますが……』

 そこでミドリは一拍置くと、クスリと笑った。

『あなたの身体はもう快感にどっぷり浸かっちゃっていますよ』

 その一言に真白はギリッと歯を食い縛った。

 他人に言われなくとも自分が一番良く分かっている。油断すると開きそうになる口、痛いくらいに膨らんだ乳首、小刻みに締め付ける膣や絶頂による全身の虚脱感……それら全てが真白に快感を訴えかけている。

『性感帯別感応モニタリングによると、あなたは子宮への刺激に対する反応がクリトリスや膣口など他の部位よりも大きいようですね』

「な、何が言いたいのよ……」

『ふふっ、あなたが特に快感を拾いやすい部位は子宮ということです。処女なのに子宮が性感帯なんて珍しい。それじゃあ特別に……』

 映像の向こうでミドリが短く指示を出すと、すぐに真白の身体に変化が現れた。

「んはあぁぁっ……!? あ、うぅっ……子宮が……震えてっ……はぁっ、はぁっ……あぐっ! 私に一体何をっ、した……の……あああぁぁっ!」

 胎内を襲う掻痒感に真白ははっきりと色香の混じった悲鳴を上げた。

 ビクビクと腰を跳ね上げのた打つ姿は、まるで快感を受け入れ淫らに身を悶えさせているようにも見える。ただ一点、険しく眉根を寄せる悔し気な表情だけがそうではないことを示していた。

『子宮の疼きを少し強めてあげました。次いつ敵が来るか分からない状況ですからね。いつまでものんびり待っているわけにもいきません。今からあなたの女の部分を徹底的に責めてあげます』

 子宮を四方から羽根でくすぐられているような感覚に、真白は皮膚を粟立たせる。逃げるように身体をくねらせても刺激はぴったりとくっ付いて離れてくれない。

「そん、なっ……! はぅっ、あっ……ふっ、くぅっ……! こんな、ことしたって私は……絶対……ひぁああぁっ!」

 言葉の途中で子宮が収縮し、深い深い絶頂を迎えてしまう真白。身体は弓なりに仰け反り、見開いた目の端には熱い涙が滲む。

 自分では絶対に触れない、触ろうとすら思わない卵巣や子宮――生殖機能そのものを刺激されるとてつもない快感と恐怖がないまぜになって真白を困惑させ判断力を奪っていく。

『子宮痙攣が18%増加。脳波計が振り切れていますね。ほとんどずっと絶頂しっぱなしじゃないですか。膣液に潮に……あらあら子宮粘液まで』

 嘘偽りなく暴かれる真白の身体。

 苦痛であれば心と体が一緒になって拒絶できる、耐えられる。だが快楽は違う。真白の意志がどれだけ拒絶しようにも、身体はそれを求めてしまう。人間である限り逃れられない枷――それが性欲だった。

「んぐっ! こんなの……こんな、の……どうって、こと……あひっ! ふぁあぁっ! んああぁぁあっ!」

 タガが外れそうになるのを必死に抑え込む。

 頭に流れ続ける声と快感によって脳は麻痺し思考は鈍り、涙と快楽で視界が揺らぐ。

「(見ちゃダメ……あんなもの……汚らわしいだけっ! 好きじゃない人のなんて欲しくなんてないっ……!)」

 次第に男たちの肉棒から目が離せなくなってくる。

 あれをアソコに挿入するだけで身体を蝕む疼きを消し去ってくれる――そんな甘美な誘惑が声となって頭の中で反芻される。

『ドミネイターからの支配脱却を掲げる反乱組織のリーダーたるあなたが男の象徴を咥え、手で扱き、受け入れる姿……』

「はぁっ、はぁっ……ふぐっ! ミドリちゃん、こんなことしても無意味よ……! だから強力して一緒にっ……」

『問答は不要です。あなたと私とでは目指す方向性は似て非なる。相容れることはありません』

 その時、ミドリの傍に女性隊員が歩み寄り、何かを耳打ちした。

『ふふっ、大切な仲間が先に乱れ堕ちる姿を見たらどうなるでしょうね?』

 ミドリの笑みが一層邪悪なものへと変化した。

「あっ、くぅ……はっ、ぐぅ……はぁっ……はぁっ……はぁっ……ど、どういうこと。何を言って……」

『先程、飛花の爆弾除去手術が完了しました。お転婆な飛花に必要なのかどうかは分かりませんが、処女膜の損傷もありません』

 それを聞いた真白はホッとすると同時に背筋がゾクリと寒くなるのを感じた。

 今のミドリは復讐に狂っている。何をし出すか全く予想ができない。

『言ったでしょう? 私はアヴァン・ルージュを手に入れます。世界をあるべき姿にするためには、あなたというピースは私がしっかりと使ってあげます。飛花も同じこと。あなたを堕とすための切り札として役に立ってもらいましょう。彼女は身を焦がす獣欲にあなたほど耐えられでしょうかね』

「そんなっ……! ふざけたことを……あなたと飛花は仲間だったはず。なのにこんな……こんなこと……許さないっ! 絶対に許さない!」

 快感に頭の先まで浸かって溺れながらも、最後の力を振り絞って画面を睨んで吠える真白。

 だが、ミドリの表情は変わらない。

『私は忙しいのでもう行きますが……子宮への疼きをもっと強めてあげましょう。快楽で壊れてしまう前に降参してくださいね。最も……壊れてしまったあなたをにもしっかりと使い道はありますが……フフフ、フフフフフッ――』

 映像が途切れると同時に、子宮の疼きと収縮がさらに激しさを増した。

 それだけではない。クリトリスへの振動や頭の声――全身を襲う全ての要素が快感の濁流となって真白を飲み込む。

「ああああぁぁあぁっ!! あぐっ、あっ、ああぁっ! フゥ――ッ! フゥ――ッ! 待って……待ちな、さいっ!! ミドリッッ!! ミドリィィィッッッ――――!!!!!」

 淫らな匂いが充満する空間に真白の叫びが虚しく響き渡った……。

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