レイカル21 5月 レイカルとカーネーション

 のれんを潜って入ってきた作木に小夜は応じる。

「作木君。レイカル、持って帰って。さすがにもう夜中だから」

「そうします。……でもどうして二人が?」

「……説明すると長くなっちゃうけれど、要はゴールデンウィークの出がらしみたいなものよ。作木君も呑んでいく?」

「いえ、僕は自転車で来ちゃったので……」

「そ、創主様ぁ……。私はその……邪魔なんでしょうか?」

 涙目に訴えかけるレイカルに、作木はううんと頭を振ってから、胸ポケットより何かを取り出す。

 それはオリハルコンのサイズのカーネーションの花束であった。

「これ、は……?」

「いや、何だか普段からずっと居てくれるのを、ありがたいと思う気持ちが薄れていたのかなぁと思って。ささやかなものだけれど、許してもらえるかな? レイカル」

 レイカルは花束を手に、大輪の笑顔を咲かせる。

「もちろんです! 創主様! 花束は……もらうのが初めてなので……。こういう気持ちって何なんですかね! 胸がぴょんぴょんします!」

「それはきっと……嬉しい、じゃないかな」

「嬉しい……。創主様、私からあげられるものはでも、ほんの少しのものだけで……」

「そんなことないよ、レイカル。レイカルがくれたものは多分、僕の人生を変えるものだったんだと思う。だから、ありがとうの気持ちのカーネーションなんだ。……まぁ、母の日にはちょっとだけ早いけれどね」

 はにかんだ作木に、これだから好きになったのだな、と小夜は気持ちを新たにして二人のやり取りを眺める。

 するとカリクムが袖を引っ張って来ていた。

「……小夜……」

「分かってるわよ。ナナ子に頼んでカーネーション、あんたにもあげるから。感謝を形にするのって、難しいわよね。でもそれができるから、人間なんでしょう」

 そう、絆は形にしなければ伝わらないわけではないが、想いは形にしなければ伝わらない。

 せめて、感謝には豪奢なカーネーションで――。

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