「要は、さ。相手からしてみても切り札のはずなんだ。《キリビトコア》って言うのは。それくらい力が別格のダンチな人機だし、正直なところを言って、勝つ方策だとかは当てにしないで欲しいレベルなんだ。でも、ここでこっちの切り札も効いてくる。《キリビトコア》を呼ぶことこそが最大限の毒になるというのなら、その毒をしっかりと、タイミングを見誤らないように用いれば……勝てる」
「勝てる……私たちが……」
どこか熱に浮かされたように口にするのを、エルニィは補強していた。
「これは伊達や酔狂で言っているんじゃないよ? 本当に……クイーン作戦自体は穴の少ない戦いだった。でも穴が少ないだけで、穴がないわけじゃないし、何ならこのプランは、勝ち筋に関して言えばノーマークのレベルだったんだ。でも、さつきが瑠璃垣なずなから手に入れたこのジャミングがあれば、その方向性を確実な勝利へと持って来ることができる」
「……勝てる見込みのない作戦で、勝つって言うことですか……?」
「……まぁ、そう言われちゃうと立つ瀬もないけれどね。でも、光明が見えたって、日本語では言うんでしょ? こういう時」
こっちへと振り返って笑ってみせたエルニィに、さつきも微笑みかけていた。
「……じゃあここからは……」
「ああ! ここからは――ボクらのターンだ!」