JINKI 11 悪の条件

 空を覆うのは邪悪なる黒の翼。  無数の影が降り立ち、その手に携えた武装より一条の光線を弾き出した。寸断される街のライフラインと、逃げ惑う人々の怨嗟の声が焼きつく。  それをコックピットの中で聞き届けていたカリスはケッと […]

JINKI 10 雨がやんだら

 ――雨がやんだら、謝ろう。  そう思った時があった。それでも無情にも降りしきる雨は、どこか自分を突き放すようにも見えて。このような瑣末事でいちいち感情を揺り動かされる自分を馬鹿馬鹿しいのだと、叱っているようでもあった。 […]

JINKI 9 エルニィの大発明

「さぁ、寄ってらっしゃい見てらっしゃい! ボクの掻き集めた最新の発明品だよ!」  赤緒は突然に境内で広げられた赤風呂敷の屋台に困惑して、反応が遅れてしまっていた。 「……あの、立花さん。これは……」 「うん? 日本のエン […]

JINKI 8 アルマジロな日々 番外編

 ――僕は、アルマジロの歩間次郎。  名前をつけてくれた人のところに今、向かっています。  とことこの四本足とぷくぷくに丸まることのできるこの身体はとても自由ですが、やはり人間の足には敵いません。 「取ったー!」

登場人機 データ 5-7

○五話の登場人機 バーゴイルミラージュ 高さ:22メートル 重さ:122トン 武装: プロトハンドガン×2(袖口に装備) プロトシザー×2(両肘に装備) アルベリッヒレイン補助用マシンガン(機体各所に装備) メルJが鹵獲 […]

JINKI 7 ヘブンズは永遠に

「あのぅ……南さん」  軒先で米国の高官と交渉中であった南は、後ろから問いかけてきた赤緒の申しわけなさそうな声音に、連中との会話を打ち切った。 「うん? 何ー? ……うっさいわね。とにかく! 予算は三割増し! 以上!」 […]

JINKI 6 シークレットミッション

 慣らし運転で構わない、という言葉を受けてコックピットに収まったエルニィは眉をひそめた。 「あのさ、そもそも今回のミッションからして慣らし運転なんてレベルじゃないでしょ? 何せ、ボクの人機なんだから」  コンソールを撫で […]

JINKI 5 銀翼の系譜 前編

前編  燃え盛るのは絶海の地平。  エメラルドに染まっていたはずの海は、灼熱を湛え水平線を赤く煮え滾らせる。闇夜を淡く、それでいて後戻り出来ない光が景色を満たしていた。 「……壊れてしまった」  何もかも、全て。彼女の信 […]

JINKI 4 運命を待つ夕刻

「エル坊。シュートを決めた感触はどうじゃった?」  問いかけた祖父にエルニィはふんと鼻を鳴らす。 「……悪くないね」 「そうか」  斜陽がビル群を照らし出す。陽が落ちれば、いつものように日常は終わる。いつものように、とエ […]