「お疲れ様、青葉さん。モリビトの整備はしておくから、今日はもう休むといいよ」 川本の言葉に青葉は頷き、《モリビト2号》の最終点検を行う。 「いえ、でも一応……もうちょっと乗っておきたいかなぁ……って。迷惑ですかね?」
カテゴリーアーカイブ:JINKINobel/著 シチミ大使
JINKI 228 優しく頬に触れて
「もうっ、立花さんってば……また通販で買い物して……」 段ボールだらけの居間を掃除しようとして、赤緒は掃除機を持ち出していた。 「買うんだったら最後まできっちりしないと。海外からの荷物も来るんだからなぁ……」
JINKI 227 声、雨空を抜けて
「……雨、やまねーな」 まさか行きがけで通り雨に降られるとは思いも寄らない。 シールはじめっとした空気を肺の中に取り込んでから、大きくため息をついていた。
JINKI 226 大事な今のために
「それで、人数は揃っているわね?」 問い返した南へと、ルイとメルJが応じる。 「ええ、それは一応」
JINKI 225 可能性のひとしずく
「立花、この……“タコヤキ”とやらは何なんだ? 食えるものなのか?」 出店で売られているたこ焼きへと視線を据えたままのメルJへと、エルニィは戸惑いながら応じていた。 「あ、そう言えばそっちにはたこ焼きの文化なかったっけ […]
JINKI 224 機械たちのまどろみ
唐突に目覚めたいやに醒めた意識に、周囲を見渡す。 暗く凝った世界の片隅で、彼は意識を伸ばしていた。 『……ここは……』
JINKI 223 アルマジロな御朱印
「おっ、さつきじゃねぇか。何やって……本当に何やってンだ? ここ、普段の買い出しに来ないコーナーじゃねぇか」 両兵が問いかけると、買い物袋を提げたさつきは少し当惑したようであった。 「あっ、お兄ちゃん。……その、ちょっ […]
JINKI 222 譲れない理由ひとつ
「ようこそ立花博士、それに確かトーキョーアンヘルの責任者の……」 「黄坂南です」 相手が思い出す前に名乗った南は、全域展開している人機の編隊へと視線を向けていた。
JINKI 221 マキちゃんの初恋
はぁ、とため息を一つついたマキに、赤緒は問いかける。 「どうしたの? マキちゃん。ちょっと元気ないね」 「あ、うん。赤緒……うーん、ちょっとねー」
JINKI 220 操主として向き合うこと
機銃掃射を掻い潜り、赤緒は《モリビト2号》を後退させていた。 「柊! 敵は三機編成だ、こっちはブレード捌きで近接に入るぞ!」 「……はいっ!」