レイカル33 6月 カリクムと長雨の夜に

「長雨って憂鬱よねー」

 そう口火を切ったナナ子に、小夜はどんよりとした面持ちで応じる。

「そうねー……梅雨って何だって、日本だと毎年来るのかしら」

「洗濯物は乾かないし、髪の毛はべとべとになっちゃうし、湿気で体調も悪くなるし……いいことってないわよね」

JINKI 178 私だけの思い出に

『柊、《モリビト2号》の反応速度、三拍鈍いぞ、何やってンだ』

 対峙するのは《ナナツーライト》である。

 自衛隊の試験場にて、赤緒の操る《モリビト2号》と両兵とさつきの駆る《ナナツーライト》は、互いにプレッシャー兵装を携えて向かい合う。

レイカル32 5月 ウリカルとこどもの日

 拳を破、と勢いよく突き出したところで、それを風と受け流されてウリカルは続いて蹴りに繋ぐ。

 勢いを完全に殺し切り、ヒヒイロはこちらの攻勢を読み切って手でさばいていた。

「そこまで。よくやれるようになってきたのう、ウリカル」

JINKI 177 前に進む理由を

「うん? 何をやっとるンだ、お前らは」

 いつものように朝食にありつこうと柊神社を訪れた両兵は、めいめいに体操服に身を包んだアンヘルメンバーを認め、首をひねる。

「ああ、両兵じゃん。ちょうどよかったね、奇遇って奴」

JINKI 173 メカニックの乙女道

「お邪魔しまーす……って、誰も居ねぇでやんの」

 一応はインターフォンを鳴らして窺ったものの、人の気配は皆無で、シールは肩透かしを食らった気分であった。

「境内のほうには……格納庫か。いいのかねぇ、こんなに無防備で。とは言ったって、オレらだって押し入り強盗じゃないんだから、まぁいっか」