JINKI 158 声で届けられるもの

「ふわぁ……おはようございます、立花さん。ルイさん。……朝から何を?」

「しーっ。赤緒、今から始まるんだから、ちょっと黙っててよね」

「始まるって……日曜日ですよ、今日は。それなのに、お二人とも早くから目を覚まされて……」

JINKI 156 誇りある職務を

『――ご覧ください! これが彼の――アルベリッヒレインです!』

 その言葉と共に標的へと重火力が撃ち抜いていく。

 肩口にガトリングガン、そして胸部には二門のプレッシャー兵装、その手に携えたアサルトライフル――どれを取ってしてみても一級の装備を誇る漆黒の人機が加速度を湛えて、一気に空を駆け抜けていく。

JINKI 154 うららかな春のお茶日和に

「うーん……ここんところをこうして……んで、ここがこうなって……」

 エルニィは回路を繋ぎつつ、後頭部を掻いていると、不意に鼻孔に芳しいにおいが漂ってきて部屋から飛び出す。

「なになにー! なに美味しそうな匂いさせているのさー……! って、あれ? 赤緒じゃないの? 南?」

JINKI 153 ドキュメンタリーを撮ろう

『……今日もアンヘルの朝は早い。起き掛けの間抜け顔を見せるのは柊赤緒さん(16歳)、このトーキョーアンヘルではこんなでも操主を務める逸材だ。彼女が操るのは《モリビト2号》、今は……えーっと……格納庫に……うん、ある。昨日そう言えば物干し代わりに使ったのを忘れていたので仕舞い忘れたのかと思ったが、杞憂であった。さて、次に起きて来てすぐにしゃんとして朝食の支度を始めたのは川本さつきさん(13歳)。13歳にして見事な朝食の仕込みを……』

JINKI 152 秘めたし想いを

 鳴動が重々しく響いて、メルJは面を上げる。

 相手は《バーゴイル》の三機編隊――自分が勝てないような相手ではない。

『ヴァネット、あんまり先行し過ぎんな。オレと柊で対面に回るから、前の二機を足止めしてくれ』

JINKI 151 夢だけは捨てない

「……うん? 朝っぱらから何やってんのよ、あんたたち」

 空を仰いで手を振っているエルニィとルイに対して、起き掛けの南は問いかけていた。

「何って、分かんない? 呼んでるんだよ」

「……何を? って言うか、呼ぶって……」

 ルイは澄ました顔で応じていた。