後編
「どうして、ロストライフ現象なんてものを起こす?」
JINKI オリハルコン・レイカル 人狼機ウィンヴルガ
「人機に魅入られたのさ。あいつは」
そうあだ名される男はいつも監視塔にいる。言われて興味を持ったのは、ベネズエラ軍部に配属されて三ヶ月が経とうとした頃であった。
新兵である自分には全てが新しく、慣れない事ばかりであったが、その中でも何度も聞かされてきた「カラカス防衛戦」に関してはほとんど素人だ。
――1988年。あの動乱の時代に、一つの都市が核攻撃によって地図から消えた。軍部批判に繋がりかねないこの一大事件はしかし、その後に起こった怪奇現象によって今や忘れ去られようとしていた。
ロストライフ現象。世界中で巻き起こる殺人と、一都市がその夜のうちに丸ごと消滅している、という謎の事件。