JINKI 253 アルマジロのきもち

「……赤緒、その……大丈夫……だろうか?」

 不安そうにするメルJに、赤緒は頷く。

「……ええ、大丈夫……ですね。ヴァネットさんはきっと、いい飼い主として、次郎さんに認められたんだと思います」

「そ、そうか……? 私がいい飼い主、か……」

 とは言え、どこかおっかなびっくりなのには違いない。

 赤緒はメルJの握るリードを、そっと自分の手で包み込む。

「大丈夫ですっ。ヴァネットさんの優しさ、きっと次郎さんにも伝わっています」

「……そ、それならばいいのだが……。赤緒、手を離さないでくれよ……。急に走り出したら、私ではどうにも止められん……」

「ええ、じゃあ、その時には二人して走り出しましょうか。次郎さんも自分のペースで、歩いてくださいね」

 ぷぎっ、と次郎が鳴き声を上げる。

 今だけは――両兵の言っていた次郎には言葉が分かると言うのも、信じてみたくなっていた。

「むむっ……じゃあ、行くぞ……」

 少し恐怖心が勝っているようだが、それでもメルJなりの歩み寄りだ。

 なら、それを尊重するのが、自分にできる唯一の。

「はいっ! 行きましょう、ヴァネットさん、次郎さんも!」

 次郎が僅かに駆け出す。

 つんのめった彼女の横顔が、少しだけ新しい体験に微笑んでいたのは、何も間違いではないはずなのだから――。

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