JINKI 340-3 距離と感覚

【3】「距離と感覚」

「あら? メンテナンスとは殊勝ねぇ」

《ヴェロニカ》のコックピットで調整を行っていたサイラスへとイヴが語りかけてくる。

「そっちこそ。《ヴァルキュリアトウジャ》の調整は終わったのか?」

JINKI 340-2 未だ届かぬ身

【2】「未だ届かぬ身」

 ――ぜいぜいと息を切らす。

 ここまでの戦闘意識と、今、肉体に収まっている己との差が浮き彫りになっていた。曖昧な自己を一体化させるまでのこの時間は何度味わっても慣れない。顕は指先で首筋を撫でる。

レイカル77 2月レイカルと戦友(とも)チョコ

「じゃあ、勝負の形式は一本勝負。先にダウンしたほうの負けね」

 ナナ子が取り仕切るのを、小夜は視線を振り向ける。

「(いいけれどさ……これって意味ないんじゃない?)」

JINKI 338 ここに居る自分とあなたへ

 カナイマアンヘルの倉庫はあらゆる試作品でごった返しており、広世にしてみれば馴染みの薄いものも多い。

「なぁ、古屋谷さん。これって、何なんだ?」

「あー、それね。石傘さんが造った人機専用のフライトシステムの試作品なんだ」

JINKI 337 スキャンダル・ハリケーン

「ちょ、ちょっと立花さん……。押し過ぎ……」

「だってー、しょーがないじゃん。ほら、バレちゃうから静かにしないと」

 唇の前で指を立てたエルニィに赤緒は呆れ返りつつも再び視線を振り向けようとして、真正面を遮られた無頼漢の顔に驚愕の声を上げて尻餅をつく。

レイカル76 1月 レイカルと一年の抱負

「これと、これと……あとこれを」

 文具屋で買い付けた一式を買い物袋に入れて、作木は年明けの冷たい風が吹き抜けていく都市部を踏み歩く。まだ年が明けて二日目――そのせいか開いている文具屋を探すのも一苦労であったが、凍える呼吸を発しながらそれにしても、と街頭モニターに映し出されている本日のニュースに目をやる。