JINKI 255-5 破滅の雪花が降る

 シバなりの考えがあるのだと言うことは分かったが、それでも飲み込み切れないのは、相手の編隊に組み込まれた八将陣の二人だけではない。

 降り立った自分たちが、何もせずに敗走――それだけでアンヘルだけではない。対立勢力に与える影響は違ってくる。

「……分かっているの? 私たちが何もせずに退くって言うのは……」

『承知している。その上で、だ。ここは退き時だ、ジュリ』

 譲るつもりのないシバの声に、ジュリは忠誠の声を返すしかない。

「……了解」

 シャンデリアの光が自分たちを押し包む。

 一瞬にして制空権を取れるこちらの優位が揺るがないことからの、慢心と思われても何らおかしくはない。

 否、それ以上に戦局は悪いだろう。

 キョムの誇る、八将陣の戦略的撤退は、どの勢力にとっても異様に映るに違いない。

「……けれど、あんたには……考えがあると思っていい、のよね?」

 シバは応えなかった。

「――消えましたね」

 Jハーンの声にドクターオーバーは改めて宣言していた。

「これで準備は整った。ロストライフに怯えてきた者たちよ! 我がグリムの眷属の力を見たであろう! キョムに対し、我々は圧倒できる。その事実を噛み締めない愚鈍な者たちではなかろう。ここに! 時代は移り変わるのだ……! 東京だけではない、ここをはじめとして世界中に死の雪が降り積もる! そして果たされるのはロストライフではない。――ライフエラーズ。それを目の当たりにするがいい」

 白銀の光雪が東京上空より降りしきる。

 ヒトの体温を無情に奪い、そして死の先へと赴かせる――人類は死を超越する。

 それこそが「ライフエラーズ計画」。

 ヒトである証を失った亡者たちが、今に都心を闊歩するであろう。

 その情景を思い浮かべ、ドクターオーバーは紅を引いた口角を釣り上げていた。

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