だが、人々は別に絶望することはないのだ。
何故ならば、彼らにはこうして「遊び」があるのだから。
それを最大限に楽しむ場が遊園地であると言うのならば、享受しないのは嘘だろう。
「……かもな。遊びって言っちまうと、ちぃと語弊がありそうだが、オレや青葉は古代人機との戦いの最前線に居たんだ。そんな中で……ああいうのは何気に助かったのかもな。心を死なせずに済んだっつーか……」
「あんたねぇ、もうちょっとマシな言い回しがあるでしょうが。あんたも青葉も、遊びってもんに救われたのよ。でも、人間そうなんじゃない? ずっと張り詰めていたら疲れちゃうし、遊びってのは案外、馬鹿にできないと思うわ。それが戦うのなら、なおさらね」
今は東京の専守防衛を司っているとは言え、それでもアンヘルの面々に必要なのはこうした息抜きなのだろう。
彼女らには人機の過酷な運命が待っているのは必定。
それでも――楽しめるその時には、せっかくなのだから全力の「遊び」を。
日々に応えられるものがあるとすればきっとその程度のものなのだろう。
「……ああ、そうか。今さら分かっちまった。ヒンシとかデブが、何でジェットコースターなんて作って……オレらを安心させようとしてくれたんだよな」
人機の整備だけをしていてもよかったのに、日曜大工だと言っても何の苦労もないはずがない。
だが、彼らはそれを選んだ。
自分たち操主をただの戦いの道具にしないために。
そして――戦いの後に待つ平穏を、受け入れるだけの心持ちにするために。
「……そうか、じゃないわよ。本当に鈍いんだから、あんたは」
「うっせぇな。……ちょうどいい、次はあれに乗ろうぜ」
指差した先のジェットコースターは立派にそのレールを天へと伸ばしている。
「……人機の機動に比べれば何てことない子供騙しなんだろうけれど……ああ、いや、違うわね。子供騙しだから、いいのよね」
「南、あれ。乗りましょう」
ルイが駆け抜けていく。
南はがっくりと肩を落としていた。
「本当、貧乏くじって奴かもしれないわ。……でも、いいわよね。遊びがあるのはきっと、ちょうどいいんだから」
――ちょうどいい。
そんな言葉できっと、自分たちの戦いは報われるはずだ。
「……だな。自分たちにとってちょうどいいことで報われるんなら……それはちゃんと、ありがたい代物のはずだからよ」
ジェットコースターへと一路向かう。
あの日、気付けた平穏への道標を、今一度味わうことができるのならば。
それはきっと、ちょうどいい道草に違いないのだから――。