「なにー? 作木君、怖いの? しょーがないわね。私が引っ張ってあげるんだから!」
今も昔もきっと、誰かが誰かの手を引くのが肝試しの醍醐味なのだろう。
そんな時に手を引ける側に、自分はなりたいのだから。
「――カリクム、知っているか! 宇宙人はもうとっくの昔に地球に降り立っているんだ!」
口火を切ったレイカルの言葉に、今度は宇宙人か、とカリクムは呆れ返る。
「お前さー、影響受けやす過ぎるだろ。この間は幽霊で、今度は宇宙人とか……居るわけないよな? 小夜」
話題を振られて小夜は、そうねぇ、と返す。
「宇宙人はともかく、幽霊は居るかもね」
返答が意外だったのか、カリクムは唇を尖らせる。
「……何だよ。怖がりのくせに幽霊はいいのか?」
「……まぁ、その正体がプラズマだとか言い出すよりかはいいんじゃないの? ロマンがあって、さ」
「割佐美雷! お前も分かってくれるか! じゃあ、今度はミステリーサークルを探すぞ! 絶対に居るんだからな! 宇宙人!」
レイカルの眩しいまでの言い分にカリクムはすっかり参った様子である。
「……こんなのに付き合っていたらいくら時間があっても足りないじゃんか。……って言うか、幽霊も宇宙人も居ないだろ、普通に考えて」
「自分たちだってオリハルコンなんていうオカルトのくせに、そこのところはリアリストなのよね、カリクムって。ねぇ、小夜。何だかこの間の肝試しから、ちょっとだけ、変わった?」
「……そう? そう……かしらね?」
「ちょうどいいものがあって……一緒に観る?」
ナナ子が取り出したのは「超常現象! 最恐ファイル!」と書かれた幽霊特集のDVDだ。
「あ、いや、別に幽霊が平気になったわけじゃないんだってば。……って言うかナナ子。あんた、分かっていて楽しんでるんでしょ?」
ナナ子は何となくでも自分たちに巻き起こったことを悟っているはずだ。
当然、カグヤのことも。
それでも彼女はしらばっくれる。
「何のことかしらねー。あれ? 小夜、もしかして怖い?」
こういうところが実は天性のドSなのだな、と思い知って小夜はぐぬぬと耐え忍ぶ。
「い、いいわ……今夜どっちが夜中にトイレに行けなくなるか、勝負しようじゃないの……!」
「その勝負、受けた! じゃあ、帰ったらみんなで観ましょうか」
――その勝負の行方が小夜の完全敗北に終わることは、今さら語るまでもない。
そんな自分たちを他所に、レイカルは次なる興味へと邁進していた。
「宇宙人は居るんだからなー!」
きらきらとしたレイカルの言葉振りに、小夜はぽつりとこぼす。
「……まぁ、どんなことでも最初は誰だってさ。ワクワクドキドキするのは、当たり前なのかもね」