レイカル62 11月 レイカルと勤労感謝の日

「さぁ! 今日も今日とてナナ子キッチンの開幕よ! 乾家直伝のお鍋をご賞味あれ!」

 汗ばむ季節を超え、こうして冬はやって来る。

 その前の、少しだけ気持ちが落ち着く秋と言う季節に感謝を。

 だってそこには、見落としかねない些細な出会いと当たり前が、こうして隣にあるのだから。

「じゃあ……みんなで食べようか」

「キンローに感謝です! 創主様!」

「――カリクム……カリクムってば!」

 ぺしぺしと頬を叩かれてようやくカリクムは身を起こす。

「うん……? あれ、今日ってなんかの日だっけ……?」

「何寝ぼけてるの? あんた、朝早くに起こしたっていいって言ったじゃないの」

「うーん……そんなこと言ったか? ふわぁ……、まだ眠い……」

「起きなさい! ……たるんでるわよ、そういうの!」

 カリクムはトレーニングウェアに身を包んだ小夜を視界に入れて、げっ、と声を出す。

「何だよぉー、小夜。変なやる気出しちゃって……」

「これから冬になるんだから! 毎日トレーニング、朝のジョギングにあんたも付き合いなさい! ちょうどいい目覚ましになるでしょ?」

「……いや、それはちょっと……」

 布団を手繰ろうとして小夜に取っ払われ、首根っこを引っ掴まれる。

「下手な抵抗はためにならないわよ。さぁ、行きましょうか」

「ナナ子ー、何でこんな目に遭うんだよー……助けてくれってばぁー」

 その声にナナ子は寝ぼけまなこを擦ってカレンダーを見る。

「……今日は土曜日、勤労感謝の日ね。祝日か……ぐぅ」

 再び寝入ったナナ子にカリクムが抗議する。

「こういう時って一緒に来るもんじゃないのー?」

「グダグダ言わない! さぁ、とっとと走り込み行くわよー!」

 小夜に引き連れられ、カリクムは秋の深まった早朝を走る。

 痛いのが嫌いな自分にとって、刺すような寒さは何よりも辛い。

「こんなのってないだろー! 勤労感謝の日なんて大嫌いだー!」 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です