JINKI 301-18 さんざめく輝きを纏いて

 さつきの《キュワン》が降り注ぐ雷撃からナナツー防衛部隊を守護する。

『絶対に……! 誰一人死なせません……!』

『見たところ、その緑の奴が一番厄介そうやな。……おい、支部長! 聞こえとるんやろ。《バーゴイル》で抑えてみぃ! そんだけ分裂したってできるんやろ!』

 その声に呼応するように《バーゴイル》部隊が磁石のように弾かれて稼働し、プレッシャーライフルを掃射する。

「さつきちゃん……!」

「まずいよね……《キュワン》は高出力の防衛型人機。物理攻撃にはめっぽう強いけれど、プレッシャー兵装で全方位を固められると……」

『相殺の手段はあります! 赤緒さん! 立花さんも振り返らないでください……! 防衛線はやり切ります!』

 今はさつきの言葉を信じるほかない。

 赤緒は《空神モリビト2号》を疾駆させる。

「……ありがとう、さつきちゃん。――ファントム!」

 機体を反らせて軋ませ、一気に加速度を帯びた《空神モリビト2号》が《キリビト・レキ》の射程へと潜り込む。

『馬鹿が! キリビトの鉄槌を知れや!』

 雷撃の檻が《空神モリビト2号》のフライトユニットを焼いていく。

 じりじりと臨界点が高まる中で、赤緒は《キリビト・レキ》の中枢部に燃ゆる青い輝きを見据える。

「……見えました……! 中央に近い位置に、血塊炉の青!」

「……了解! 赤緒は操縦に集中して! 回避運動はボクが担当する! ホーミングミサイル……発射ァっ!」

 エルニィが親指でエンターキーを押し込み、《空神モリビト2号》に装備されている追尾ミサイルを掃射する。

 爆炎が舞い散る中で赤緒は必死に手を伸ばす。

 脈動する青い輝きはしかし、これまでの対人機戦闘では最も遠い。

 恐らくは堅牢な装甲に身を包んでいることも影響しているのだろう。

《キリビト・レキ》を一撃で無効化することはほぼ不可能に近い。

 雷撃が《空神モリビト2号》の肩口に突き刺さり、赤緒はダメージフィードバックに呻く。

「……ぐぅ……っ!」

「赤緒! 無茶はしちゃ駄目だ!」

「だい……じょうぶ、です……っ!」

 激痛で霞む視界を持ち直し、赤緒は《空神モリビト2号》の右腕を掲げる。

『近づくだけ近づいて、そんな状態でぇ……ッ! 何ができる言うんや!』

 ばら撒かれた稲光によって街並みと京都タワーが明滅する。

 陸戦で戦い抜いていた《シスクードトウジャ》はバズーカ砲を捨て去り、再び近接戦闘に打って出ていた。

『……しかし、ナイフだけなのが心許ない……!』

『贅沢は言わないことね。少しでもRフィールド装甲に傷をつけるわよ』

 長距離滑空砲を構え、赤緒は至近距離での砲撃を敢行しようとして、稲妻の刃で砲身が焼き切られる。

「メイン武装が……!」

『リバウンドの雷撃で焼き尽くされてまえ! これで終わりじゃあ……ッ!』

 真正面に捉えたのは紫色の荷電粒子を収斂させた《キリビト・レキ》のその圧倒的な姿。

 視界いっぱいを埋め尽くす禁忌の稲光に全てが終わったのを確信せざるを得なかった、ほんのレイコンマの数秒。

 全てが静止していた。

 雷光は拡散され、その中心軸には新生した人機が佇む。

『……何やとぉ……ッ!』

 白い内部骨格に、オレンジ色の増設装甲。

 それらを誇る新型機は赤い眼光を滾らせ、キリビトの鉄槌を弾き返す。

『……待たせたな! 柊、それに立花も。……お前らが時間を稼いでくれたお陰で、こいつは完璧になった……!』

『……行きます。三宮金枝、《モリビト燦号》! キリビトを倒すために、馳せ参じました!』

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