その模様を眺めていると覚えず口元が緩んでしまう。
「……作木君。私ね、やっぱり時間を有意義に使いたいの。そりゃー、私らだって大学生身分でなに今さらドッジボールなんてしているんだって話だけれどさ。せっかくこれだけの縁を紡いだんだもの。なら、何もしないよりかはいいでしょ?」
小夜が立ち上がって大きく伸びをする。
そうか、と作木は差し込む夕陽を視野に入れる。
「……これもオリハルコンの縁なんですよね。僕たちの手に入れた……」
「そうよ。だから誇っていいんだってば。いつだって、私たちの傍にはレイカルたちが居るんだから」
左足の捻挫で思った風に動けないだろうが、作木はベンチの隅に転がっていた野球ボールを掴んでいた。
「小夜さん。キャッチボールをしませんか? それならさほど痛みませんし」
「……いいけれど。作木君、ボールは投げられる?」
立ち上がると確かに少しだけ痛むが、今はそれよりも――せっかく時間を取ってくれた人々に後悔させたくはなかった。
「大丈夫、です……。まぁ、それに。中途半端に秋を費やすのも、それは嫌なんでしょう?」
「……何だか見透かされちゃったみたいね。いいわ、作木君。ゆっくりね」
「おっとと……」
「……まずは投球フォームからねぇ」
不格好に投げると余裕を持って小夜はキャッチする。これでは何だか物言いだけで格好がつかないなと思いつつ、作木は苦笑する。
「……お願いします。だって、季節は巡るんですから」
「短い秋を、楽しみましょうか」
小夜の正確無比な送球を作木もキャッチする。
「さて! みんな揃ったことだし、ここに来るまでに買い揃えてきた食材も含めて今日はバーベキューにしましょうか! さぁ、ナナ子キッチンの開幕よ!」
小夜が手を差し伸べる。
「行きましょうか。みんなが待っているわよ」
「……そうですね。みんなが待っていますので」
小夜に手を引かれて作木は寄り集まる。
少し涼しくなった季節には、人恋しい気分にもなる。せめて、その季節を取りこぼさないようにしながら――秋を全力で楽しんでいこう。
割り切れない気持ちをせめて誰かに明け渡しつつ、夕映えの風を肺に取り込む。
「……いい季節に、なったんだなぁ」
そう呟いて作木は足を向けていた。