キャッキャッと歩き回る群衆をじっと睨み据え、両兵は嘆息を漏らしていた。 「ねぇ、両兵。何でそんなに機嫌悪いのさ」 「何でも何も……そもそもどうして、てめぇなんかと」 周囲には女子供や、家族連れが目立つ中で、自分とエル […]
投稿者アーカイブ:綱島志朗公式サイト管理人
JINKI 73 勇気は花に、想いは胸に
「ん? 何してんだ? さつき」 はぅわっ! と肩を震わせたさつきは、こちらを見るなり何だと安堵する。 「お兄ちゃんかぁ……。五郎さんかと思っちゃった」 「何でオレだとまずいんだよ。それ、何だ? 紙をくしゃくしゃにしてっ […]
レイカル 17 五月「レイカルと鯉のぼり」
「そ、創主様……。どうやら始まったようですね……」 どこか意味ありげに口にしたレイカルに作木は足を止める。 「……何がだい?」 「何がって……戦ですよ。あれは……間違いなく、開戦の狼煙に違いありません……」 身構えた […]
JINKI 72 金色の黄昏に
「おっ、小河原さん。今日も一杯どうだい?」 河川敷で野良暮らしをしている仲間に声をかけられ、両兵はソファに寝転びながら手を振る。 「おーっ、楽しみにしてっわ。じゃあ今日は腹減らしとくか。……ちょうど柊も来ねぇし、街ぶら […]
JINKI 71 想い、桜の下で
「……なぁーんか、呑気だよな、連中」 ぼやいた両兵に隣に座った南が首を傾げる。 「そう? 日本人ってみんなこんなもんよ?」 「……分かんねぇのは、何でオレが、朝の五時からこんな場所でわざわざ張らなきゃならんのか、という […]
JINKI 70 ヘルタワーを追え!
――なぁ、聞いたことあるか、と船員が問い質していた。 何てことはない、世間話の一つ。漁船ではしかし、そういう「噂」が絶えない。海の上に火の玉を見ただの、海坊主に行き会っただのという、取りとめのない話。誰かの退屈を紛ら […]
JINKI 69 匿名者より
部屋中に巻き散らかされたケーブルに、赤緒は辟易していた。 「……もうっ。立花さん。散らかしっ放しじゃないですか……」 「あー、それ? 今必要だから置いといて。データ取るのにこっちの電源だけじゃ不足していてさー。もうちょ […]
JINKI 68 アンヘルと歯医者
ふと、目に留まった姿に赤緒は立ち止まっていた。 「あれ……ルイさん……」 どうしてなのだか、ルイは境内の奥に縮こまり、その顔を伏せていた。 まさかどこか悪いのだろうか。歩み寄った赤緒に、ルイがびくりと肩を震わせる。 […]
JINKI 67 君と前に進みたい
――両手をまず、真っ直ぐに伸ばして。 力まないで、ペダルを踏んだ足はぶれさせず、重心を真ん中に捉える――。 ハンドルを掴んだ手が震える。掌が汗ばんでいるのが分かる。 緊張しているのか、と己に問いかけても、やはりと言 […]
JINKI 66 今ここにあるもの
「あー、赤緒さん。いいところに居てくれたわね」 不意に呼び止められて赤緒が面食らっていると、南はそそくさとその手を引く。 「今ヒマ? ヒマよね? だったら、ちょっとだけ来てくれる?」 「えっ……あっ、ちょっと! 南さん […]