JINKI 57 白鯨の討ち手

 静謐に沈んだ湖畔は月明りを映し出している。  蒼く染まる夜、付近の木々より鳥の鳴き声が朗々と響く中で、半ば泥に塗れたジャングルの小道を亜熱帯仕様が施された《ナナツーウェイ》が歩んでいく。  乳白色の標準型だが、熱に強い […]

レイカル 14 一月「レイカルの雪合戦」

「創主様っ! 創主様! 起きてください!」  布団を揺さぶられ作木は眠気の残る瞼を擦っていた。 「……どうしたの? レイカル。まだ朝早いんじゃ……」 「そうではありません! ご覧ください!」  カーテンを開いたレイカルが […]

レイカル 13 十二月「レイカルの大晦日」

「……今年ももう終わりね……」  窓際で呟いた小夜の物憂げな表情にナナ子は自身の作業を進めつつ応じる。 「何? ため息ついちゃってらしくない。トリガーVの続編決まったんでしょ? 来年も大忙しじゃない。……あー、そっか。小 […]

JINKI 55 銀と黒

「――ヒトは、罪を被って生まれてきた、と我々は定義します」  教会に響き渡ったその声音にぼろを身に纏っていた信徒たちは、おおと声を上げていた。  どれもこれも、見渡せば些事なるもの。そう断じた金髪のシスターはその銀色の瞳 […]

JINKI 54 荒れ狂う運命を超えて

 輸送されてきたコンテナに収まっている人機のデータに、エルニィは眉根を寄せる。 「……南米戦線からの払い下げかぁ……。あまりにごてごてしていて、ボクはあんまし好きじゃないんだけれど」 「この際、選り好みはしていられないわ […]

JINKI 53 あたたかな今を

 こたつを挟んで二人が気まずそうに対峙していた。  一方はどこかばつが悪そうに。一方は、茶をすすって落ち着き払っているが本意ではないとでも言うように。  視線に耐えかねて青葉は口を開いていた。 「……あの、やっぱり怒って […]

レイカル 12 十一月 「レイカルのバースデイ」

「創主様! ヒヒイロの修行へと行って参ります!」  快活に声にしたレイカルに、作木は首肯する。 「うん。行っておいで」  しかし、ラクレスが佇んだまま動かないのを目にして、レイカルは疑わしい眼差しを向けていた。

JINKI 52 第百四十五次定例会議事録

『――これより、第百四十五次定例会を行う』  浮かび上がったのはそれぞれに動物の意匠を凝らしたマスクを持つ者たちだ。  互いの素性は割れていても、こうして道化を演じ続けるのは、表舞台での自己とここで発言するものは分けられ […]

JINKI 51 ティータイムの前に

 むすっと頬をむくれさせたメルJの気迫に、赤緒は何も言えなくなっていた。  彼女には珍しく、居間に座り込み、徹底抗戦の構えである。  もっとも、それはメルJだけでなく、軒先で同じように目線を逸らしているルイも、なのである […]