JINKI 34 譲れないものひとつ

 重く沈殿した静寂に、両兵は夜空を仰ぐ。  とっくに暮れた月夜の晩に、背中を預けたのは軽自動車一台。ここに酒でもあれば、少しばかりマシなのだが、生憎酒もつまみもない。両兵は車越しに沈黙を貫いている相手へと言葉を投げていた […]

JINKI 33 青い風の舞う空

 ――リバウンドの航空力学で飛翔する物体を分類上、「戦闘機」とは区分しない。  これは大国が保有数を誤魔化すための詭弁だとか、あるいはもし実戦の域に達した場合において、既存戦闘機とアンノウンを区別するためにある。  ここ […]

レイカル 7 六月「レイカルのあめふり」

「……やみませんね……雨」  窓辺で降りしきる雨を眺めていたレイカルに、作木は意識を振り向けていた。じぃっと外を凝視するレイカルに、作木は応じる。 「梅雨だからねぇ」

JINKI 31 ポイント12、1452

「両、ちょっと顔貸しなさい」  突然に橋の下に現れた南に、両兵は寝そべったまま、乗せた雑誌だけを持ち上げて応じていた。 「ンだよ、黄坂か。まーた、あいつらのご機嫌うかがいなんてやる気はねぇぜ」  欠伸を噛み殺し、再びうつ […]

JINKI 30 チキチキ!アンヘルとんとん相撲

 コンテナから覗いた紺碧の機体に、エルニィは、おーっと声を上げていた。 「これ、南米の?」  ええ、と友次がデータを読み上げる。いくつかの黒塗りと、極秘事項のラベルが貼られた仕様書には、こう記されていた。  名称――《ア […]

JINKI 29 死霊討伐

 コンテナから覗いた紺碧の機体に、エルニィは、おーっと声を上げていた。 「これ、南米の?」  ええ、と友次がデータを読み上げる。いくつかの黒塗りと、極秘事項のラベルが貼られた仕様書には、こう記されていた。  名称――《ア […]

JINKI 28 私を映画に連れてって

 一度だけ見た光景がある。  記憶の片隅で埃を被っているその光景は忘れられて久しい。  特段、珍しいわけではない。だが、何度も思い返すのだ。  指差し、ぼやけてしまったそれを何度も声に出す。その言葉でさえも掠れていて聞き […]

JINKI 27 柊神社、格納庫の怪

「あのさ……ちょっといいかな、五郎さん……」  エルニィの潜めた声に五郎はきょとんとする。そうでなくとも自分にエルニィが声をかけるのは珍しい。きっと、何か用があるのだと感じ、にこやかに応じていた。 「何でしょう? 困った […]

JINKI 26 Jの刻印

 作品の一つとして、人造人間であるゾールは完璧である、と主は告げていた。 「だってそうじゃないか。彼らには繁殖に必要な器官は存在せず、そして不要な思考回路は全て遮断され、ただ戦闘にのみ研ぎ澄まされた神経がある。内臓もない […]