JINKI 140 約束は風任せで

「あれ? 小河原さん、それって、もしかしてバイクですか?」  柊神社の境内で両兵が弄っていたのは年季の入った黒いバイクであり、レンチやら何やら工具を取り出している。 「おう、見て分からんか? こいつ、橋の下の仲間内でちょ […]

JINKI 139 似合いの場所に

「あの、ヴァネットさん……ここの書類、見てもらえますか?」  早速上からの書類が回ってきて、メルJは眼鏡のブリッジを上げる。 「ふむふむ……これは仕様書だな。こちらで見ておこう。後の仕事は引き継ぐから休んでくれるといい」 […]

JINKI 138 夢幻領域の向こうで

 テーブルダスト、ラ・グラン・サバナの土地には遥か昔、人機がまだ才能機と呼ばれていた頃より伝承がある。  72式作業人機――後の《ナナツーウェイ》に繋がる系譜の人機が建造された当初、一機のナナツーがベネズエラの森林地帯の […]

JINKI 137 赤緒のダイエット奮戦録

「……嘘……っ?」  愕然とする。  一度、降りてから、もう一度、慎重に、それこそ一歩一歩を踏み締めるように量り直したが、やはりと言うべきか、数字は変わらなかった。 「……増えてる……」  数字はいつだって残酷である。

JINKI 136 願いの篝火に寄せて

 状況次第では一個師団が組まれるという情報を聞きつけ、ジャングルを分け入っていく。  その足並みが森林地帯を踏みしだき、甲高い鳥の鳴き声が木霊していた。  キャノピー型のコックピットを持つ《ナナツーウェイ》は防音仕様では […]

JINKI 135 あなたのくれた祝福の日に

 ――目が醒めると、時々いつの間にか泣いている自分を発見する。  理由もなく、別に寂しいわけでもないのに。  ただ何となく、ここに居て、何となく戦っているわけではないはずなのに。  一人にしないでなんて言えたのはいわゆる […]

JINKI 134 ガール・オブ・リヴィジョン

 それは遭遇と呼ぶのにはあまりにも唐突で。  そして、偶然と呼ぶにしては、あまりにも裏打ちされたものがあった。  月下で、薄桃色の花弁を散らしながら、ビルの屋上に舞い降りる漆黒の機体。  それに対し、さつきは自分の乗って […]

JINKI 133 妖雲を討て

「――微調整よし。今のところ、敵との距離は前段階の試算通りだが……本当に来るってのか? 立花」  そう尋ねた下操主席の両兵に、エルニィから返答が来る。 『……間違いないよ。こっちに向かってゆっくりと、それでいて確実に襲っ […]

JINKI 132 さつきとルイの一日看板娘

「おっ、赤緒ー。今日はさ、ラーメン屋寄っていかない?」  マキの提案に赤緒は首を傾げる。 「ラーメン屋さん……? 何で?」 「いやー、この間マンガ家の先生のアシスタントに入ったんだけれど……」  頬を掻きながら謙遜するマ […]

JINKI 131 アイの歌を歌え

 さつきが声高らかに歌い上げるのは流行のアイドル曲であった。  高音キーの一部を飛んで、僅かに上ずった歌声に南が何度か頷く。 「うんうん。やっぱりいいわぁ、きゃぴきゃぴしたアイドルの曲を若い子が歌うのはねぇ」  腕を組ん […]