JINKI 120 生存係数を超えて

『……世君。……勝世君! 聞こえていますか?』 「ハッ……! あ、青葉ちゃん……?」 『何を寝ぼけているんですか? 作戦行動中ですよ』  その言葉に勝世は嫌でも現実に叩き起こされてしまう。ハンガーに固定された人機、《トウ […]

JINKI 119 突入戦域を駆ける

「……一号ラインに着いた。ここから先は暗号通信とする。にしても、悪くない空だ。作戦決行にもってこいの……」  一機の《ナナツーウェイ》から伝令された言の葉に迷彩色の後衛機が続く。  青空の下で砂礫を踏み締め、森林地帯を今 […]

JINKI 118 なだらかな平穏を

 断崖絶壁に佇んで、薄靄の中で声を浴びる。 「両兵。どうだ? 人機越しじゃない、本物の空気は」 「……だるいもんだ。人機なら一っ跳びの距離を、こうして歩くっつーのはな」 「だがこうでもしないと、ラ・グラン・サバナの霊峰を […]

JINKI 117 空騒ぎの日々に

「おーぅい、赤緒ー。リフティングしていい?」  エルニィが軒先にて呑気にサッカーボールで戯れているものだから、赤緒は洗濯物を取り込みつつ諌める。 「……立花さん。していい? って言いながらもうやってるじゃないですか。そこ […]

JINKI 116 アンヘルと回転寿司にて

「みんな! 今回のキョムの迎撃お疲れ様! ってことで、ささやかながらお祝いの席として」  早速ビールにありつこうとする南をエルニィは制する。 「いやいや、って言うかさ……何でそのお祝いの席がここなわけ?」  ゴゥン、とベ […]

JINKI 115 雨、すれ違う心

「よぉーし! 今日はここまで! お疲れさん!」  現場主任の号令がかかり、工事現場の男たちは帰路に入っていた。 「いやぁ、しっかし疲れますね、この現場も」 「そう言うなって。どうだ? この後、一杯?」  同調しかけて、そ […]

JINKI 114 奇跡と喧騒の一日

「うん! 今日のお味噌汁もとってもいい味!」 「あっ、さつきちゃん? ごめんね、ちょっと遅れちゃって……」  その声を聞いて台所へと欠伸を噛み殺しながら起きてきた赤緒は、味噌汁の仕込みを行う影に瞠目していた。 「ヴァ、ヴ […]

JINKI 113 恋のテレホンダイヤル

「おっ、赤緒、おかえりー」 「あっ、立花さん。ただいま帰りまし……何なんです? それ」 「これー? 本国から送られて来た新しい端末なんだよねー。何でもさ、十年以内にこれが流行るとか流行らないとか」  エルニィの手にしてい […]

JINKI 112 おいしい冬の日に

 夕食の席で自分の手にした料理に南がおっ、と声を上げる。 「赤緒さん、今日はドリアなのね」 「あ、はい。あったまるかと思って」 「……むっ、何なんだ、それは」  意外に難色を示したのはメルJである。あれ、と赤緒は小首を傾 […]

JINKI 111 大人になるということ

「あら、今日はお昼の用意がしてないのね」  ふと気づいた南に筐体を弄っているエルニィが応じる。 「あー、だって赤緒もさつきも今は自衛隊のほうに行っちゃって留守だし、五郎さんは……ああ、神事だっけ? メルJ……も居ないよね […]