JINKI 320 特別な世界があるから

 牽引されていくトレーラー車に積載された人機を見るのは売られる仔牛を見るような気分で少し居心地が悪い。と言うのも、自分にとっては人機が特別であることの証左でもあるのだろう。 「オーライ! オーライ!」

JINKI 319 イチゴ風味の悪ふざけ

「……では、言い訳を聞く時間にしましょうか」  赤緒がふんすと鼻息をついて目の前の二人を交互に見渡す。自身は寝間着姿であったが、反省して座り込んでいるルイと月子は困り果てたように項垂れている。 「そ、その……赤緒さん?  […]

JINKI 318 三宮金枝はアイドルになりたいっ!

 自ずと胸が高鳴る。  鼓動がうるさい。どうしようもないほどに身体の奥底で熱が上がっており、まかり間違えれば眩暈に襲われそう。そんな中で、自分の順番が近づいてくる。その時が迫るにつれて、今日この日まで高めてきた自分自身の […]

JINKI 317 秘密のコトバ

 次、次と促されるのも妙な気持ちでメルJは不服そうに抗弁を垂れる。 「……いいのだが、これが金になると言うのか?」 「任せてってば。まぁ、それに? 何よりもこういうのって案外需要があるから成り立つんだし」 「需要……ねぇ […]

JINKI 316-8 想いと力と

【8】「想いと力と」  キリビトタイプが降りてきたことを、今でも明瞭に覚えている。吹き込む灼熱の風、一歩ずつ近づく死の足音。《ホワイト=ロンド》では勝てるはずもない。だと言うのに、よりにもよってこの時に動ける戦力は自分以 […]

JINKI 316-7 終局の時へ

【7】「終局の時へ」  朝方にサンドイッチを二つ。それがささやかな朝食であったが、エルニィの言葉を聞きつつ南は施設に接続された監視カメラを目にしていた。  視察があるのは午前十時過ぎのはず。それまで油断はできない。サンド […]

レイカル71 8月 夏の暑さと眩い被写体

 何枚かパシャパシャと目の前でカメラを構えるナナ子の動作には洗練されたものがあり、さすがは大学でもオタクであることを全く隠さないだけはあると小夜は感心してしまう。 「よし! いただきました……!」

JINKI 316-4 白の城塞

【4】「白の城塞」  仕事内容の中にはカウンセリングもあると聞かされてはいたが、実のところ得意分野ではないのではないかという危惧はあった。  イケザキ主任の同席もあって、断るわけにもいかないまま勝世は早朝のスケジュールを […]