JINKI 326 まだ見ぬ青の明日へ

 疾走感はこれまで運用してきた人機とは雲泥の差だ、とアイリスは操縦桿を握りながら噛み締める。ヘッドアップディスプレイの圧倒的な処理速度も、ましてやフットペダルを踏み込んだ際の加速も、鹵獲した《バーゴイル》とは一線を画している。

JINKI 325 開幕!テッチャンマラソン!

『レディース&ジェントルメン! ここに集まってくださった紳士淑女の皆さん! さぁさ! 今一番のゼッケンから六番のゼッケンまで揃いましたー……っと! 五番ゼッケンがここで乱痴気騒ぎかぁー!』

JINKI 323 彼らのシンプル・プラン

 三日間も補給物資がないとなれば、前線に影響してくるのは必定と言えるだろう。それでもなお、《バーゴイル》相手に徹底抗戦を続ける現地兵士たちは今もまたキョムのシャンデリアの光が降り注ぐのを絶望の眼差しで眺めていた。ここでの救いはない。ここでの終わりはない。

レイカル73 10月 レイカルと秋の心得

「そこそこー! ナナ子、狙い目ぇーっ!」

 小夜が囃し立てると、ナナ子はふふんと胸を反らして構えを取る。

「さぁ、覚悟なさい! 削里さんに作木君! ナナ子ぉーウルトラスーパーデラックス……」

JINKI 322 アキラの手記#2

 煤けた風が吹き抜けていく。長い黒髪を巻き上げていくロストライフの土壌の乾いた空気は、いつになっても慣れないものだ。アキラは今もゆっくりと大地を踏み締めていく《マイマイ》の振動を感じながら、巻き付けたペンを取り、手記を書き付けていく。

JINKI 321 忙しくも麗しい日々に

「うーん……よくないんだけれどなぁ……」

 そう思いつつ赤緒は部屋の模様替えをしながら呟く。明日には国語と日本史の小テストが迫っており、そこからの逃避行為であったがどうにも勉強に身が入らない。

JINKI 320 特別な世界があるから

 牽引されていくトレーラー車に積載された人機を見るのは売られる仔牛を見るような気分で少し居心地が悪い。と言うのも、自分にとっては人機が特別であることの証左でもあるのだろう。

「オーライ! オーライ!」

レイカル72 9月 小夜と過ぎ去りし夏の祭典に

 猛暑を超えて少しはマシになったかと思ったら生憎の雨模様で、小夜は陰鬱なため息をついていた。

「……この時期っていつもテンション下がる……」

「こう天気が崩れると、なかなかイベントも難しそうだもんね。撮影はどうなってるの?」

JINKI 319 イチゴ風味の悪ふざけ

「……では、言い訳を聞く時間にしましょうか」

 赤緒がふんすと鼻息をついて目の前の二人を交互に見渡す。自身は寝間着姿であったが、反省して座り込んでいるルイと月子は困り果てたように項垂れている。

「そ、その……赤緒さん? 怒っているよね? やっぱり……」