JINKI 15 陽だまりの教室で 「……で、戦国時代ってのはそもそもの始まりは守護大名が……」 「あの……ジュリ先生」 おずおずと手を挙げた赤緒に、黒板を指示棒で突く赤髪の女性が振り返る。 「どうした? 赤緒」 「いえ、その……。純粋に疑問なんですけれど……」 ページ: 1 2
JINKI 14 退けない戦い 柊神社の鳥居の前でむすっとしている二人へと赤緒は目を向けていた。 片や、水色の髪をカニバサミの髪留めで結ったルイ。もう片方はトーキョーアンヘルの頭脳たるエルニィだ。 そういえば、この二人はあまり話しているのを見たことがないな、と赤緒は思案を浮かべている最中にも、二人の間に流れる微妙な緊張感が加速する。 ページ: 1 2
JINKI 13 二つの世界 誰かに優しくしたところで、それが報われることはない。 それを十二歳にして知れたのは幸福と呼ぶべきか、あるいはこの世の残酷な側面を垣間見た不幸か。 「彼」には名前がなかった。 ページ: 1 2
JINKI クリスマス 聖夜を描いて 「あっ、あのっ……ルイさん。お疲れ様です」 《ナナツーマイルド》のコックピットから出てきたルイにさつきは会釈する。二機でようやく一人前の新型人機、《ナナツーライト》と《ナナツーマイルド》は姉妹機であるのを強調するように揃って傅いていた。 ルイは銀髪をなびかせ、カニバサミを指で弾く。 「コスト削減機の試運転、何回やればいいのかしらね」 ページ: 1 2
JINKI 11 悪の条件 空を覆うのは邪悪なる黒の翼。 無数の影が降り立ち、その手に携えた武装より一条の光線を弾き出した。寸断される街のライフラインと、逃げ惑う人々の怨嗟の声が焼きつく。 それをコックピットの中で聞き届けていたカリスはケッと毒づいていた。 ページ: 1 2
JINKI 10 雨がやんだら ――雨がやんだら、謝ろう。 そう思った時があった。それでも無情にも降りしきる雨は、どこか自分を突き放すようにも見えて。このような瑣末事でいちいち感情を揺り動かされる自分を馬鹿馬鹿しいのだと、叱っているようでもあった。 「……やまねぇな。雨」 橋の下で両兵はそうこぼす。思い返すのはどうだっていいことばかりなのに、どうでもよくない事実だけが自分の前に屹立している。 ページ: 1 2
JINKI 9 エルニィの大発明 「さぁ、寄ってらっしゃい見てらっしゃい! ボクの掻き集めた最新の発明品だよ!」 赤緒は突然に境内で広げられた赤風呂敷の屋台に困惑して、反応が遅れてしまっていた。 「……あの、立花さん。これは……」 「うん? 日本のエンニチってヤツでしょ? いやー、乙なもんだよねー。ブラジルにもお祭りはたくさんあったけれど、日本のは何だか妙な感じ!」 「そうじゃなくって……。その、どうして縁日を?」 ページ: 1 2
レイカル1 Xmas 「レイカルのクリスマス」 浮遊する影がその手のひらを輝かせる。真紅に染まった可視化されたオーラ――ハウルが纏いつき、一台のトラックを縫い止めた。 「な、何だ、おい!」 運転席でドライバーが困惑する間にも、その距離は電柱まで刻々と詰まっていく。破壊の轟音が刻み込まれるかに思われたその時であった。 影が赤い眼を中空に向ける。その気配の中心地で風が逆巻き、真っ逆さまに銀色の流星がドロップキックの姿勢を取って舞い降りてきた。 ページ: 1 2
JINKI 8 アルマジロな日々 番外編 ――僕は、アルマジロの歩間次郎。 名前をつけてくれた人のところに今、向かっています。 とことこの四本足とぷくぷくに丸まることのできるこの身体はとても自由ですが、やはり人間の足には敵いません。 「取ったー!」 ページ: 1 2