流れる潮風に赤緒はふと被っていた帽子を傾けていた。
大きな鍔つき帽が風に揺れ、それを保持する。
「……これが、東京湾……」
視界一面に広がる水平線に赤緒は呼吸も忘れて見入っていた。
思えば海に来るのは片手で数えるほどだけで、後はほとんど都心での生活が馴染んでいる。まだ海開き前の潮風は涼しげで、自衛隊によって封鎖線を張られた浜辺には人っ子一人いなかった。
ページ: 1 2
JINKI オリハルコン・レイカル 人狼機ウィンヴルガ
流れる潮風に赤緒はふと被っていた帽子を傾けていた。
大きな鍔つき帽が風に揺れ、それを保持する。
「……これが、東京湾……」
視界一面に広がる水平線に赤緒は呼吸も忘れて見入っていた。
思えば海に来るのは片手で数えるほどだけで、後はほとんど都心での生活が馴染んでいる。まだ海開き前の潮風は涼しげで、自衛隊によって封鎖線を張られた浜辺には人っ子一人いなかった。