JINKI 45 戦慄海域を超えて

 流れる潮風に赤緒はふと被っていた帽子を傾けていた。

 大きな鍔つき帽が風に揺れ、それを保持する。

「……これが、東京湾……」

 視界一面に広がる水平線に赤緒は呼吸も忘れて見入っていた。

 思えば海に来るのは片手で数えるほどだけで、後はほとんど都心での生活が馴染んでいる。まだ海開き前の潮風は涼しげで、自衛隊によって封鎖線を張られた浜辺には人っ子一人いなかった。

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