レイカル 49 9月 レイカルと衣替え

 宵闇を駆け抜けるのは、何も慣れたものでもなく。  ただ、最初のほうよりかは少しだけこの戦闘にも掴めてきた――と、作木は小夜のバイクの後部に跨って声にする。 「レイカル! 敵は三体……! ダウンオリハルコンだ……!」

JINKI 231 二人だけの島で

「それにしたってよ……流れ流れて、にしちゃあ、もっとやりようはあったんじゃねぇの?」  ぼやいた両兵に対し、エルニィは《ブロッケントウジャ》の電算パーツを組み上げていた。 「文句言わないでよ。ボクだってこうなるなんて想定 […]

JINKI 230 交差する道も

 翻った黒い翼を、一機、また一機と撃墜していく。  漆黒の機影は大地を踏みしだき、袖口に仕込んでいたワイヤー装備で空を舞う《バーゴイル》を叩き落としていた。 「逃がさ……ない!」  アンカーが《バーゴイル》の飛翔を妨げ、 […]

JINKI 229 覚悟を振るうということ

「お疲れ様、青葉さん。モリビトの整備はしておくから、今日はもう休むといいよ」  川本の言葉に青葉は頷き、《モリビト2号》の最終点検を行う。 「いえ、でも一応……もうちょっと乗っておきたいかなぁ……って。迷惑ですかね?」

レイカル 48 8月 ウリカルと水刃の残暑見舞い

「それにしたって、どういう風の吹き回しなのかしらねー。水刃のジジィがこの時期に呼んでくるなんて」  サイドカーに乗り込んだナナ子のぼやきに、小夜はうーんと呻っていた。 「そうねぇ……水刃様が私たちを改まって呼びたいなんて […]

JINKI 228 優しく頬に触れて

「もうっ、立花さんってば……また通販で買い物して……」  段ボールだらけの居間を掃除しようとして、赤緒は掃除機を持ち出していた。 「買うんだったら最後まできっちりしないと。海外からの荷物も来るんだからなぁ……」

JINKI 225 可能性のひとしずく

「立花、この……“タコヤキ”とやらは何なんだ? 食えるものなのか?」  出店で売られているたこ焼きへと視線を据えたままのメルJへと、エルニィは戸惑いながら応じていた。 「あ、そう言えばそっちにはたこ焼きの文化なかったっけ […]