宵闇を駆け抜けるのは、何も慣れたものでもなく。 ただ、最初のほうよりかは少しだけこの戦闘にも掴めてきた――と、作木は小夜のバイクの後部に跨って声にする。 「レイカル! 敵は三体……! ダウンオリハルコンだ……!」
投稿者アーカイブ:綱島志朗公式サイト管理人
JINKI 232 ヒミツの物語の続きを
「さつき、今日は自称天才の奢りで渋谷に行くわよ」 帰り支度を進めていると、ルイがそう急かして来たので、さつきは当惑する。 「る、ルイさんっ! 駄目ですよ、買い食いは校則違反で……」
JINKI 231 二人だけの島で
「それにしたってよ……流れ流れて、にしちゃあ、もっとやりようはあったんじゃねぇの?」 ぼやいた両兵に対し、エルニィは《ブロッケントウジャ》の電算パーツを組み上げていた。 「文句言わないでよ。ボクだってこうなるなんて想定 […]
JINKI 230 交差する道も
翻った黒い翼を、一機、また一機と撃墜していく。 漆黒の機影は大地を踏みしだき、袖口に仕込んでいたワイヤー装備で空を舞う《バーゴイル》を叩き落としていた。 「逃がさ……ない!」 アンカーが《バーゴイル》の飛翔を妨げ、 […]
JINKI 229 覚悟を振るうということ
「お疲れ様、青葉さん。モリビトの整備はしておくから、今日はもう休むといいよ」 川本の言葉に青葉は頷き、《モリビト2号》の最終点検を行う。 「いえ、でも一応……もうちょっと乗っておきたいかなぁ……って。迷惑ですかね?」
レイカル 48 8月 ウリカルと水刃の残暑見舞い
「それにしたって、どういう風の吹き回しなのかしらねー。水刃のジジィがこの時期に呼んでくるなんて」 サイドカーに乗り込んだナナ子のぼやきに、小夜はうーんと呻っていた。 「そうねぇ……水刃様が私たちを改まって呼びたいなんて […]
JINKI 228 優しく頬に触れて
「もうっ、立花さんってば……また通販で買い物して……」 段ボールだらけの居間を掃除しようとして、赤緒は掃除機を持ち出していた。 「買うんだったら最後まできっちりしないと。海外からの荷物も来るんだからなぁ……」
JINKI 227 声、雨空を抜けて
「……雨、やまねーな」 まさか行きがけで通り雨に降られるとは思いも寄らない。 シールはじめっとした空気を肺の中に取り込んでから、大きくため息をついていた。
JINKI 226 大事な今のために
「それで、人数は揃っているわね?」 問い返した南へと、ルイとメルJが応じる。 「ええ、それは一応」
JINKI 225 可能性のひとしずく
「立花、この……“タコヤキ”とやらは何なんだ? 食えるものなのか?」 出店で売られているたこ焼きへと視線を据えたままのメルJへと、エルニィは戸惑いながら応じていた。 「あ、そう言えばそっちにはたこ焼きの文化なかったっけ […]