JINKI 85 灰色を行く者

「オーライ、オーライ……デッキアップ完了。そのまま初期動作に入ってください、立花さん」 『りょーかい。でもさー、アンヘルの陣営が足りないからって、これは反感買うんじゃないの?』  屹立した人機は磔にされており、項垂れたそ […]

JINKI 84 輝きを誇って

 ざざん、と白波が立って両兵は欠伸を噛み殺す。 「……釣れねぇな」  ぼやいた視線の先には釣り糸が垂らされており、さらに視野を拡大すれば水平線の彼方まで望めた。 「そりゃ、しょーがないよ、両兵。ここ、釣り堀じゃないもん」 […]

JINKI 83 ささやかな眠りにつく前に

「モリビトの駆動系はナナツーのものが流用されていて……で、代替部品をすぐには揃えられないから、関節部やブルブラッドの消費を少なくするために、されている工夫が……」  そこまでマニュアルを読んだところで、ノックの音が耳朶を […]

JINKI 82 鮮やかに、澄み渡る

 訓練場の片隅で、駆け抜ける紫色に塗装されたトウジャを目に留めて、両兵は立ち止まる。 「……ありゃ、何だ? 訓練の中にゃ、自衛隊のための《アサルトハシャ》と、ナナツーの編成案しかなかったはずだが」  紫色のトウジャはシャ […]

JINKI 81 帰る場所があるなら

「あっ……立花さんってば、またゲームしてる……」  洗濯物を取り込んだ赤緒はじっとテレビの前で居座っているエルニィを見咎めていた。別段、ゲームをするなと言っているわけではない。ただ、節度を守って欲しいと感じているだけだ。 […]

JINKI 80 いつか願いが咲く日まで

 はい、と白い封筒を差し出され、赤緒は当惑する。 「……何ですか? これ」 「初任給よ。赤緒さん、頑張ってくれているから」  南の口から出た言葉に赤緒はまごついてしまう。 「そんな……っ、受け取れませんよ……」

JINKI 79 歩くような速さで

 ふわぁ、と欠伸を噛み殺し、赤緒はパジャマ姿のまま、台所へと顔を出していた。  既に朝食の用意をしている五郎へと挨拶する。 「おはようございます……五郎さん」 「赤緒さん、おはようございます。今日も登校日ですよね?」 「 […]

JINKI 78 夏の匂いのする戦場で

《ナナツーライト》の痩躯に無数の循環ケーブルが繋がれた状態は、まるで装置に雁字搦めにされたかのようにさえも映る。  ケーブルの辿る先は機体の番えた長距離ライフルの砲身であった。 『《ナナツーライト》へ。撃鉄、起こせ』   […]

JINKI 77 アンヘルの御守り

 ふわぁ、と欠伸を噛み殺した南は懐中電灯の明かりで見渡していた。 「……格納庫の見回りってかったるい……。人が居ないと言えばそうだけれど……」  ひとまず格納庫に収まっている人機のチェックと、それから電気設備の点検。自衛 […]

JINKI 76 ルイとさつきの算数教室

「あっ、こら! ルイ! 逃げるなー!」 「や、よ。何でそんなこと、やらなきゃいけないの」  境内で追いかけっこをしているルイと南を目に留めたさつきは、茫然と眺めていた。 「……ルイさんと、南さん? 何やってるんだろう…… […]