JINKI 301-4 恐怖は漆黒の影と共に

【4】「恐怖は漆黒の影と共に」  現地での接触は厳禁だと、そう言われていたことを揺蕩う意識の中で思い返す。  カプセルが開き、その意識を「引き継いだ」のを認証してから意識を取り戻していた。 「……前任者も急いだものだ」

JINKI 301-3 それぞれの脅威

【3】「それぞれの脅威」 「実際のところ、こう着状態、と言ったほうが正しいだろうな」  帰宅するなり、パソコンと向かい合っていたドクターオーバー――否、瑠璃垣セリに対してなずなは声を飛ばす。 「……逆探知だとかは……」

JINKI 301-1 白銀の少女

【1】「白銀の少女」  一つ、二つと光芒が迫り来るのを目の当たりにして、アームレイカーに思惟を通す。  連動した機体循環パイプが軋み、空から強襲してきた《バーゴイル》へと銃口を突きつける。  即座に武装識別信号が振られ、 […]

JINKI 298 ネイルに夏色が咲く

「うーん……上手く塗れないなぁ……これはこう……?」  目の前で頭を悩ませるエルニィに赤緒は困惑しきった顔で応じる。 「その……立花さん、自分の塗ったらいいんじゃないですか? 何で私のなんです……?」

JINKI 296 黒の女と星巡りの横顔

 機動力ではこちらのほうが上だと、《バーゴイル》が空中展開していく。  その様は磁石が弾けるように鮮やかで、下操主席に収まっていたユズは見とれてしまうほどであったが、戦場はその一ミリの油断が命取りとなる。

JINKI 295 ガロウズトウジャ破壊命令

 作戦司令室は静謐の只中にあった。  それもこれも、自分たちが仕掛ける好機を作るためにここまで作戦を繋いできた功績の一つであろう。 『広世。こちらは秘匿区画に入った。キムと私たちは引き続き、潜入作戦に打って出るが……』