【4】「恐怖は漆黒の影と共に」 現地での接触は厳禁だと、そう言われていたことを揺蕩う意識の中で思い返す。 カプセルが開き、その意識を「引き継いだ」のを認証してから意識を取り戻していた。 「……前任者も急いだものだ」
カテゴリーアーカイブ:JINKINobel/著 シチミ大使
JINKI 301-3 それぞれの脅威
【3】「それぞれの脅威」 「実際のところ、こう着状態、と言ったほうが正しいだろうな」 帰宅するなり、パソコンと向かい合っていたドクターオーバー――否、瑠璃垣セリに対してなずなは声を飛ばす。 「……逆探知だとかは……」
JINKI 301-2 迎撃準備
【2】「迎撃準備」 《モリビト2号》で飛翔高度を取るのは思ったよりも大変で、赤緒はフライトユニットの調整を行う。 「えっと……《空神モリビト2号》、安定高度に入りました。……飛ぶのって大変なんですね」
JINKI 301-1 白銀の少女
【1】「白銀の少女」 一つ、二つと光芒が迫り来るのを目の当たりにして、アームレイカーに思惟を通す。 連動した機体循環パイプが軋み、空から強襲してきた《バーゴイル》へと銃口を突きつける。 即座に武装識別信号が振られ、 […]
JINKI 300 アキラの手記#1
「 1991年5月某日。 本日の天候は晴れ。 風向きは北北西、視界は良好。 」 それなりに風の向きが意味を持つのは、今も黒々とした荒野を進む大型人機の推進力になるからだ。
JINKI 299 光差す方へ
「ちょっと……ちゃんと押さえててよねー」 「あー、分かってンよ。ったく……何だってオレがこんな目に……」 柊神社の屋根の上で南が脚立に上ってアンテナを掲げている。
JINKI 298 ネイルに夏色が咲く
「うーん……上手く塗れないなぁ……これはこう……?」 目の前で頭を悩ませるエルニィに赤緒は困惑しきった顔で応じる。 「その……立花さん、自分の塗ったらいいんじゃないですか? 何で私のなんです……?」
JINKI 297 チョコレート泥棒は誰?
「あれ……この間買っておいたお茶菓子……いつの間にか減ってる。ということは……立花さん!」 「ほぇ? どうしたのさ、赤緒」 居間で寝転がっているエルニィへと赤緒は注意を飛ばす。
JINKI 296 黒の女と星巡りの横顔
機動力ではこちらのほうが上だと、《バーゴイル》が空中展開していく。 その様は磁石が弾けるように鮮やかで、下操主席に収まっていたユズは見とれてしまうほどであったが、戦場はその一ミリの油断が命取りとなる。
JINKI 295 ガロウズトウジャ破壊命令
作戦司令室は静謐の只中にあった。 それもこれも、自分たちが仕掛ける好機を作るためにここまで作戦を繋いできた功績の一つであろう。 『広世。こちらは秘匿区画に入った。キムと私たちは引き続き、潜入作戦に打って出るが……』