レイカル 70 7月小夜とカグヤと七夕の季節

 テレビでパンダが笹を食べているのを目にして、そう言えば、と小夜は思い出していた。 「……明日って七夕じゃない」 「うん? そんなことで思い出しちゃって。小夜もカレンダー通りの仕事じゃなくなったのかしらね」

レイカル 68 小夜とオタクへの道

 そう言えば、幼少期には自ずと魔女っ娘に憧れてきた気がする――それも漫然としたものであろう。  周りがそちらに興味があったから、自分もというだけの代物に過ぎない。所詮、子供の世界と言うのは流れ流されがあるものだ。

レイカル 67 レイカルと花めく季節に

「もしもし? ああ、ヒミコか。……うん、そうそう。ちょっと食べ物が思ったよりも足りなくってな。至急、用意してくれると助かる」  削里が電話ボックスの中で何度か相槌を打つのを、作木は不思議な気持ちで見つめていた。

レイカル66 3月 レイカルと三寒四温の日々

 気温の落差は目に見えて出てきていると実感するのは、こうして外を出歩くと冬服をまだ仕舞っていない人間と出くわす時だ。  そういう時には決まって、自分の服装が適切なのかどうかが分からなくなってくる。

レイカル 65 2月 レイカルと乙女のパワー

 女子力と言うのは案外不思議なもので、毎年あれやこれやと奮闘しても意外と蓄積ではなく乗算タイプのものなのだ。  少なくとも毎年チョコレートを作っているのに、どうにも上手くなった気がしないのは、やはり簡単に計測できるような […]

レイカル 64 1月レイカルと正月太り

「なぁ、割佐美雷ー。そこのミカン取ってくれ」 「……いいけれど、レイカルあんた……」  削里の店は祝日のスケジュールで、年末から続く長い休暇の最終日に差しかかろうとしていた。

レイカル 63 12月 カリクムとクリスマスプレゼント

「なぁー、小夜ー。あのさ、そろそろアレの季節だよな?」  削里の店に訪れた際にカリクムがもじもじとして聞いてくるので、小夜は疑問符を浮かべる。

レイカル62 11月 レイカルと勤労感謝の日

 削里の店に着くなり、レイカルがどうしてなのだかヒヒイロの肩を揉んでいたので小夜は首を傾げる。 「……な、なに? もしかしてご機嫌でも取ってるの? よりにもよってレイカル、あんたみたいなのが……?」

レイカル 61 10月 レイカルと巡る季節に

 小夜が扉を開けたところでちょうど出くわしたのはレイカルで、彼女はバスケットを差し出して片手におもちゃの銃を持っている。  口元を隠し、黒いサングラスをかけていた。 「えーっと……確か、お菓子を渡せ。そうでないとイタズラ […]