JINKI 114 奇跡と喧騒の一日

「うん! 今日のお味噌汁もとってもいい味!」

「あっ、さつきちゃん? ごめんね、ちょっと遅れちゃって……」

 その声を聞いて台所へと欠伸を噛み殺しながら起きてきた赤緒は、味噌汁の仕込みを行う影に瞠目していた。

「ヴァ、ヴァネットさん? ……あれ、何で……?」

レイカル20 1月 レイカルと年明け

「創主様! 年またぎとは何なのでしょう……何をまたぐのか……ワクワクしますね!」

 どうやらレイカルは投函されてくる新年のチラシに夢中らしい。

 自分は、と言えば布団に入って惰眠を貪っていた。

「……寒い」

JINKI 113 恋のテレホンダイヤル

「おっ、赤緒、おかえりー」

「あっ、立花さん。ただいま帰りまし……何なんです? それ」

「これー? 本国から送られて来た新しい端末なんだよねー。何でもさ、十年以内にこれが流行るとか流行らないとか」

 エルニィの手にしているのは手のひらに収まるサイズの灰色の端末であった。無線機だろうか、と赤緒も凝視していると、端末の中腹部から折れ曲がってしまって赤緒はついつい慌てふためいてしまう。

JINKI 112 おいしい冬の日に

 夕食の席で自分の手にした料理に南がおっ、と声を上げる。

「赤緒さん、今日はドリアなのね」

「あ、はい。あったまるかと思って」

「……むっ、何なんだ、それは」

 意外に難色を示したのはメルJである。あれ、と赤緒は小首を傾げていた。

「ドリアですけれど……ヴァネットさん、知りません? 洋食のはずなんだけれどな……」

JINKI 111 大人になるということ

「あら、今日はお昼の用意がしてないのね」

 ふと気づいた南に筐体を弄っているエルニィが応じる。

「あー、だって赤緒もさつきも今は自衛隊のほうに行っちゃって留守だし、五郎さんは……ああ、神事だっけ? メルJ……も居ないよね……」

「あの子ってば、あの胡散臭い八将陣の爺様と一緒にどっか行っちゃったみたいねぇ……ってことは……」

JINKI 110 踏みしめる、この瞬間に

 ――微かに切れ切れになった記憶の中で、囃し立てる子供の声を聞く。

 それは渦巻く断片の記憶に墨を垂らしたかのように広がり、やがて拡散し、そして霧散する。

 一滴の記憶の片隅に過ぎないそれを辿ることは叶わず、何度か手繰り寄せようとして、やはり無駄か、と諦めていた。

 何度も、何度だって、この身が引き裂けそうになりながらも思い返そうとして、それでついぞ思い出せずに雑多な思考の只中に消えゆく。

 それはすれ違う人波のように。

JINKI 109 虚無の空に向けて

 黒い稲光が、中天でぱっと弾けた。

 そう認識した時には、大地は荒れ果て、草木は枯れ、この世の彼方としか思えないような光景が出現する。

 自分はその日も変わらず、食糧の調達に赴いていたのであるが、集落を襲ったその漆黒の波動が埋め尽くしたその瞬間には、目を見開いていた。

 一瞬である。

ウィンヴルガ 18 ④真白が夢の中でもう一人の真白に責められて屈辱絶頂する話

 ズプズプと入り込む指を膣肉が締め付ける。その様子は、一度絶頂を迎えた敏感媚肉が異物の侵入を拒んでいるようにも、更なる快感を求めて襞へと擦り付けているようにも見えた。

「ふっ、んくっ……ん……ふ、くっ……」

 羞恥、戸惑い、不安、抵抗、恐怖……様々な感情が混ざった真白の反応は、あまりにも初々しい。その表情はマシロの心をゾクリと震わせ、愛撫に拍車を掛けさせた。

JINKI 108 アンヘルのパソコン教室

「えっと……あれ? 立花さん。英語しか打てなくなったんですけれど……」

 画面を覗き込んで首を傾げる赤緒へとエルニィが歩み寄るなり、もうっと苛立つ。

「半角押したんでしょ。ほら、これで戻った。つまんないことで呼ばないでよね」

「つ、つまんなくはないですよぉ……。だって私たち……パソコンなんて触ったことないんですから……」

ウィンヴルガ17 ③真白が夢の中でもう一人の真白に屈辱絶頂する話

「何って……ただお豆さんを舐めただけよ? オナニー経験豊富なあなたには慣れた刺激でしょ?」

 マシロが全てを見透かしたような意地の悪い笑顔を浮かべながら、再び舌先でクリトリスを掠る。ビクンと真白の身体が痙攣し、くの字に折れ曲がった。

「んぎっ、ひぃっ……! やったこと、ない……! オ、オナニーなんて……やったことないからっ!!」