JINKI 74 思い出が醒めないうちに

 キャッキャッと歩き回る群衆をじっと睨み据え、両兵は嘆息を漏らしていた。

「ねぇ、両兵。何でそんなに機嫌悪いのさ」

「何でも何も……そもそもどうして、てめぇなんかと」

 周囲には女子供や、家族連れが目立つ中で、自分とエルニィはまるで浮いていた。いや、浮いていると少なくとも両兵は感じていた。

「えー、いいじゃん。たまには動物園。南が見繕ってくれたんだからさ」

「……それも怪しいもんだがな。どうしたってあいつの手から動物園のチケット二人分なんて出てくるんだか」

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