「オヤジ? オヤジはこんなもん、教えちゃくれなかったな。独学……じゃねぇな。ガキの頃に誰かに教わったはずなんだが……誰だったか……?」
首を傾げる両兵に、ルイは自分で折ってみせた紙飛行機をすっと構え、それを直上へと飛翔させる。
「……うまいもんだ。これならよく飛ぶだろうな」
「……でも、引き分けなんじゃ……意味ないじゃない」
「何か言ったか?」
「何でも……。これ、一番の折り方なのよね?」
「おう、これが一番よく飛ぶはずだぜ」
「……だったら……私が一番じゃなくっちゃ、いけないじゃない」
ルイは紙飛行機を拾い上げて、自室へと戻っていく。
「……何だ? 不機嫌な奴だな……」
訝しむ両兵を尻目に、ルイは手の中の紙飛行機へと、そっと呟いていた。
「……一番じゃなくっちゃ、もらった折り方を誇れないじゃないの。……ばか」