『隔壁開きます。七番から三番まで、オールグリーン。《シュナイガーノルン》、発進準備をどうぞ』
直上のハッチが開き切り、メルJは丹田に力を込めていた。
「――《シュナイガートウジャリペア・タイプ:ノルン》、メルJ・ヴァネット! 出るぞ!」
白銀の翼が今、雪の降る首都の空へと解き放たれる。
閾値を超えた血塊炉の生み出すエネルギーの余波が翼に彩りを与えていた。
赤や青の粒子の色調を帯び、《シュナイガーノルン》が破滅の雪に染まった首都を鋭い眼窩で見据える。
「……決着をつけよう。Jハーン……そして、グリムの眷属共よ……!」
羽ばたく時を覚えた《シュナイガーノルン》が突っ切っていく。
目指すは一路、敵の制圧する首都中枢部。
赤い導である、東京タワーへと――。