「いや、あのさ……。赤緒の大事にしていたマグカップ割っちゃった……。安物だから買ってくればいいじゃんって言ったら怒らせちゃって……」
真っ二つに割れたマグカップを手に、エルニィはあははと乾いた笑いを漏らす。
「……呆れた。あんたたち、しょっちゅうそんなんじゃ、私たちの身が持たないわよ」
「……で、赤緒さんは家出、ですか……」
事態を飲み込んでさつきは額に手をやる。
エルニィはそんな自分たちへと愛想笑いを寄越していた。
「いやー……参っちゃうよねぇ……。――でさ、仲直りするのに知恵、貸してくんない?」