JINKI 181 まごころを携えて

「えーっと、まずはさつきと赤緒の対戦ね。では、お互いに見合って見合ってー」  行司を務めるエルニィに赤緒とさつきは両者共に向かい合っていた。  搭乗するには人機――とは呼び難い腕の大きな機体同士である。

レイカル33 6月 カリクムと長雨の夜に

「長雨って憂鬱よねー」  そう口火を切ったナナ子に、小夜はどんよりとした面持ちで応じる。 「そうねー……梅雨って何だって、日本だと毎年来るのかしら」 「洗濯物は乾かないし、髪の毛はべとべとになっちゃうし、湿気で体調も悪く […]

JINKI 178 私だけの思い出に

『柊、《モリビト2号》の反応速度、三拍鈍いぞ、何やってンだ』  対峙するのは《ナナツーライト》である。  自衛隊の試験場にて、赤緒の操る《モリビト2号》と両兵とさつきの駆る《ナナツーライト》は、互いにプレッシャー兵装を携 […]

レイカル32 5月 ウリカルとこどもの日

 拳を破、と勢いよく突き出したところで、それを風と受け流されてウリカルは続いて蹴りに繋ぐ。  勢いを完全に殺し切り、ヒヒイロはこちらの攻勢を読み切って手でさばいていた。 「そこまで。よくやれるようになってきたのう、ウリカ […]

JINKI 177 前に進む理由を

「うん? 何をやっとるンだ、お前らは」  いつものように朝食にありつこうと柊神社を訪れた両兵は、めいめいに体操服に身を包んだアンヘルメンバーを認め、首をひねる。 「ああ、両兵じゃん。ちょうどよかったね、奇遇って奴」