JINKI 147 ルイとさつきの交換日記

 ビル街を鋼鉄の疾駆が駆ける。  空中へと抜けた形の《バーゴイル》へと、《ナナツーマイルド》がその双剣――メッサーシュレイヴを翳して追い立てていた。 「残り一機! やるわよ、さつき」 『はい! ルイさん!』

JINKI 146 ガール・オブ・リビジョン2

「あっ……なずな先生……」  思わず足を止めたさつきになずなは軽快にステップを踏んで向き直る。 「あれぇ? さつきさんじゃないですかぁ。どうしたんですぅ?」 「……私の前でそんな口調で誤魔化そうとしても無駄ですよ。まだ学 […]

JINKI 145 最果ての戦場を征く

『……世君。勝世君、起きていますね?』  友次の言葉を聞きつつ、勝世は愛機たる《トウジャCX》のインジケーターを確かめさせる。  後続につくフライトユニットを背負った《ナナツーウェイ》とは隊列を組んで先行する形だ。 「聞 […]

レイカルノベル 23 8月 レイカルと精霊馬

「――では今日は算数の勉強を……どうした? レイカルよ。呆けた顔をして」  ヒヒイロの疑問にカリクムは肩を竦める。 「いつものことだろー? レイカルがぼんやりしてるのは」 「……しかし……ちょっとばかしいつもより……レイ […]

JINKI 144 逃避行の中で

「――さて、どうしたもんか……」  両兵は憮然と求人票を見やる。どれもこれも、無理難題の仕事ばかりで、ふぅむと呻っていた。 「今の今まで人機に関わること以外はほとんどしてねぇってのはデカいな……。とは言え、青葉はあの症状 […]

JINKI 143 こんな邂逅も

「あのぅ、小河原さん……? もうやめません? 何回やっても、無駄ですよ……。それに、お金だって……」 「黙ってろ、柊。まだだ、まだ。まだオレはやれる」  そう自身を鼓舞する両兵の背中を見やりながら、赤緒は対面で湧いた群衆 […]

JINKI 142 アンヘルのお正月三番勝負

「謹賀新年」と書かれた唐松に青葉は少しだけ瞠目してから、そっか、と呟く。 「ここじゃ、何だか実感湧かないけれど、もう年が明けたんだっけ」 「おーっ、青葉じゃないの。どうしたの? 突っ立っちゃって」 「あっ、南さん。その… […]

JINKI 141 両兵のお勉強

「あれ、小河原さん。何をやってるんです?」  赤緒がその背中に声を投げると、両兵は片手を上げて応じていた。 「おう、柊か。ちぃとばかし、立花に教えてもらってンだよ」  その手に握られているものを目にして、赤緒は信じられな […]

JINKI 140 約束は風任せで

「あれ? 小河原さん、それって、もしかしてバイクですか?」  柊神社の境内で両兵が弄っていたのは年季の入った黒いバイクであり、レンチやら何やら工具を取り出している。 「おう、見て分からんか? こいつ、橋の下の仲間内でちょ […]

JINKI 139 似合いの場所に

「あの、ヴァネットさん……ここの書類、見てもらえますか?」  早速上からの書類が回ってきて、メルJは眼鏡のブリッジを上げる。 「ふむふむ……これは仕様書だな。こちらで見ておこう。後の仕事は引き継ぐから休んでくれるといい」 […]