JINKI 150 「黒と黒」 第六話 撃つべき相手を

【6】「撃つべき相手を」  ――コンコン、とノックすると友次がバツの悪そうな顔をして出てきた。 「……何、逃がしたの?」 「い、いえ……とても大人しくしているのですが……大人し過ぎるのもそのー……」 「すごい! これ、こ […]

JINKI 150「黒と黒」 第五話 力と罰

【5】「力と罰」 「――これは、思ったよりもまずいかもですねぇ」  シャンデリアに潜入していたなずなは、起動した《ブラックロンドR》に対して警戒心を募らせていた。 「さつきさんの……アンヘルの側に居るもう一人のシバと、こ […]

JINKI 150「黒と黒」 第四話 たった一つの間違い

【4】「たった一つの間違い」 『――……何だったんだろ、あいつら。結局目的は……やっぱり八将陣の……』  言葉を濁したエルニィに赤緒はぎゅっと拳を強く握り締めていた。 「……ジュリ先生。私の、信じるものって……一体何なん […]

JINKI 150「黒と黒」第三話イレギュラー∞イレギュラー

【3】「イレギュラー∽イレギュラー」 「……おい、ジジィ。ありゃどういう了見だ?」  ヤオへと問いかけた両兵に相手は駒を打ちつつ応じる。 「さての。恐らくは道楽じゃろ」 「道楽で八将陣が増えられりゃ困るんだよ。それに、そ […]

JINKI 150 黒と黒 第二話 こんな出会いの形

【2】「こんな出会いの形」 「……ジュリか。ゾールの生体認証に必要なのは八将陣のものだ。君でも簡単に扱えるし、何なら配備に加えてやっても――」 「寝言は、寝て言いなさい、坊ちゃん。……私が今回の一件、把握していないとでも […]

JINKI 150 黒と黒 第一話 黒の娘たち

【1】「黒の娘たち」 「やぁ、シバか。このラボに来るのは珍しい。何の要求だい? 君に与えてあげられる人機は存分に与えているはずだが? それとも、マージャの件で冷やかしでも?」  全くうろたえないセシルの首筋へと、すっと冷 […]

JINKI 148 ヘブンズ誕生 前編

 テーブルダストの一地点は濃霧に覆われていて、一歩踏み出すだけでも勇気が要る。  それなのに、自分が命知らずに思われたのだろう。後から追従する《ナナツーウェイ》が戸惑ったのを感じ取る。 『おっ……小河原さん! あまり前に […]

レイカル 9月 レイカルと敬老の日

「あーあ、何か嫌ねー。せっかくの夏が過ぎちゃってさ……」  雨模様の天気を眺めながら、ナナ子が観葉植物へと水をやる。  自慢のサボテンが三つ並んでおり、それへと時折言葉をかけていた。 「よぉーし、よしー。いい子でちゅねー […]