「南。メルJのシュナイガー、まだ修復の目処が立たないの? いい加減、装甲の一つも直してあげないと血塊炉が駄目になっちゃうよ?」 エルニィの発した言葉に南は額に手をやっていた。 「うぅーん、金づるには話を通してあるんだけ […]
カテゴリーアーカイブ:JINKINobel/著 シチミ大使
JINKI 20 彼女の戦い
「ねぇねぇ。赤緒、今日の晩御飯はどうするの?」 珍しく買い物に付き添ってきたエルニィへと赤緒は思案していた。 「そうですね……。魚の煮つけなんてどうでしょうか?」 「おっ、いいね。ボク、日本食は好きだよ。さつきと赤緒が […]
JINKI 19 アンヘルの勉強会
戦車大隊の火線が咲き、中空を舞う黒カラスを縫い止めようとした。しかし敵機は翻弄するかのように自衛隊へとプレッシャーの光条を見舞う。 「て、撤退ーっ! 敵が来るぞ!」 指示が飛ぶ前に、一気に至近へと肉迫した《バーゴイル […]
JINKI 18 明日はきっと
『阪神レオポンズの救世主! バルクス・ウォーゲイル選手! ホームラン記録更新です!』 レポーターの声が酒の席でも妙に残響する。 バルクスは、傾けたウイスキーのグラスに映り込んだテレビの極彩色のスポーツ番組を視野に入れ […]
JINKI 17 さつきの一日巫女体験
「うぅ……ごめんなさい……」 天井を睨んだ赤緒は盛大にくしゃみをする。五郎が体温計を手にしていた。 「38℃。風邪ですね」 嘆息をついた五郎は額に手をやる。 「どうしたものでしょうか。これから地鎮祭があるのですが…… […]
JINKI 16 その手に掴むもの
離れていく。空だ。遥かなる青空。その距離を埋めようと手を伸ばして、同期した鋼鉄の腕が空を掻く。 あ、と一呼吸吐いた時には、断崖から突き落とされた機体は地上へと激突していた。背筋にかかる衝撃と激痛。脊髄が砕けたのかと思 […]
JINKI 15 陽だまりの教室で
「……で、戦国時代ってのはそもそもの始まりは守護大名が……」 「あの……ジュリ先生」 おずおずと手を挙げた赤緒に、黒板を指示棒で突く赤髪の女性が振り返る。 「どうした? 赤緒」 「いえ、その……。純粋に疑問なんですけれ […]
JINKI 14 退けない戦い
柊神社の鳥居の前でむすっとしている二人へと赤緒は目を向けていた。 片や、水色の髪をカニバサミの髪留めで結ったルイ。もう片方はトーキョーアンヘルの頭脳たるエルニィだ。 そういえば、この二人はあまり話しているのを見たこ […]
JINKI 13 二つの世界
誰かに優しくしたところで、それが報われることはない。 それを十二歳にして知れたのは幸福と呼ぶべきか、あるいはこの世の残酷な側面を垣間見た不幸か。 「彼」には名前がなかった。
JINKI 12 災厄の華
「今日よりお前たちを統率する」 そう口にした女に、カリスは胡乱そうな眼差しを向けていた。 漆黒の長髪に、黒コート。携えた手には一振りの刀。